第18期 英治出版株主総会をおこないました。

先日、第18期 英治出版株主総会をおこないました。

今年もこの日のEIJI PRESS Labは、ミュージアム風に。昨年度に発行した20タイトルとその著者や監訳者などの皆さんの写真、日々の出来事やイベント、本のランキングなどを展示しました。

 

英治出版の累計発行タイトルは308に。
社会変革や経済開発、組織開発、働き方、育児などに関するタイトルを刊行し、さまざまなフィールドでご活躍される皆さんとお仕事ができました。

書店さんと一緒に、いろんなブックフェアも開催しました。刊行したタイトルに関するイベントも各地で実施。オンラインでもいろいろな記事で著者の方や本を紹介していただきました。

 

著者の方が、英治出版に遊びに来てくださいました。
高校生のインターンも来てくれました。
インターン生の受け入れは2年目で、今回の生徒は、1年目に来ていただいた生徒のお話を聴いて英治出版でのインターンを希望してくれたようです。


インターンを終えての発表をしているときの様子

 

3名が英治出版を卒業し、それぞれの道に進みました。
卒業生は総勢96名に。
英治出版には、卒業生全員に毎年バースデーカードを送る文化がありますが、だんだん大変になってきています。笑
そして、新たに5名の仲間が加わりました。

約10年間、英治出版の営業を引っ張ってきてくれた
仲間とのお別れもありました。

 

株主総会後には、毎年恒例行事となりつつある5月生まれの誕生日会。

英治出版には、5月生まれが3名います。
今年、それぞれにプレゼントしたのは、
「自分では気づいていないかもしれない、あなたの能力」。

UXの時代』著者で、シーオス代表の松島聡さんが、イベントで、とあるエピソードを紹介されていました。

そのエピソードとは、シーオスにいる日本刀が大好きな社員のお話でした。日本刀のコレクションはお金のかかる趣味。その社員の方は日本刀を研ぐ能力を活かして、ほかの社員の包丁を研ぐというサービスを社内で始めたそうです。日本刀好きとあって、研ぐのが上手。評判になり、そのサービスで日本刀にかかる費用を稼いだという話でした。

英治出版スタッフにも自分では気がついていない、秘められた能力があるのでは? それに気がついたり、どこかで活かしてもらうきっかけになったらいいな、との思いでお祝い企画をおこないました。

小料理屋をやりたいと言っている鈴木。ひょっとして、「利きだし」能力がすごいのでは? 夏目漱石が好きな平野。「どの文章が漱石かわかる」能力があるのでは? 競馬も好きな平野。もしかして、「競馬」名人? トライアスリートの原田。「肺活量すごい」能力があるのでは?

それぞれ、ゲームにチャレンジしてもらいました。

いつかどこかで、今回発見した能力を活かしてもらえるかもしれません。

1999年6月に創業の英治出版は、今月で19年目を迎えます。
20周年も目の前です。
これからも目の前のひとりを大切に、
「応援」「夢」「幸せ」をキーワードに
毎日を過ごしていきたいと思います。

『UXの時代』著者 松島聡さん選書【「UXからはじめるビジネス」フェア】開催中

日経ビジネスや週刊ダイヤモンドや宣伝会議で紹介され、「前提知識がなくてもIoTや人工知能がもたらす変化がよくわかる!」と好評の書籍、『UXの時代 ―IoTとシェアリングは、産業をどう変えるのか』を中心としたブックフェア【「UXからはじめるビジネス」フェア】が、三省堂書店 有楽町店様で開催中です。

ブックフェアの選書をしていただいたのは、『UXの時代』著者で、物流改革からロボット研究、ヘルスケアイノベーション、シェアリングビジネスまで手掛けるシーオス株式会社 代表取締役の松島聡さん。

選んでいただいた書籍は、ずばり、松島さんの人生観、経営哲学に大きな影響を与えた30冊。UXというテーマのもと、経営戦略から人材管理、論理思考から脳科学まで、多彩な本がラインナップされています。

松島氏さんは、UX(ユーザー・エクスペリエンス)を、モノやサービスを通じてユーザーが体験する、驚きや感動、喜びのこと。「ユーザーのWow!」と定義しています。

そして、人工知能やフィンテックといったテクノロジーは、すべて「ユーザーのWow!」を実現するための手段に過ぎないと明確に述べています。つまり、これからのビジネスにおいて最も重要なのは、独自の「UX」を構想し、実現することなのです。今回のブックフェアでは、そうしたUX(ユーザー・エクスペリエンス)を深く理解でき、そして新しい行動のきっかけとなるような書籍がセレクトされています。

本フェアに向けて、松島さんから次のメッセージをいただきました。

これまでいろんな本を読んできましたが、振り返ってみると、自分の人生に価値をもたらしてくれた本というのは、決まって、自分の考えに大混乱をもたらすものです。言うなれば、自分の価値観をひっくり返されるような読書体験。『UXの時代』という本は、そういうひっくり返される読書体験の連続から生まれたもの、とも言えます。

30冊のうち、どれか1冊でも、あなたの価値観を根っこからひっくり返す1冊になってくれたら、と願っています。そしてその読者体験が「UXからはじめるビジネス」へとつながっていってくれたら、こんなにうれしいことはありません。


松島さんから読者のみなさんへのメッセージパネル

 

店頭でぜひじっくりとご覧いただければと思います。30冊、1つひとつの書籍に、松島さんの推薦コメントPOPもついています。こちらも必見です!

これからのビジネスの潮流を学ぶ、新しいビジネスを構想するきっかけとなる、そうした機会になれば幸いです。 ぜひ皆さま、店頭に足をお運びください!!

本フェアは30タイトル、3カテゴリーで選書いたしております。

1. UXを活かし実際にビジネスモデルとしている企業の実例などが記載された書籍

2.  UXを最大化するために、今後必須のテクノロジーや潮流を解説した書籍

3. UXを最大化できる「組織づくり」に関する書籍

なお、本フェアは今後、全国の書店、大学生協様などでも実施予定です。フェア開催が決まりましたら、弊社SNS等でお知らせいたします。どうぞお楽しみに!

4/19(水)に「PASS THE BOOK」を開催します。 ゲストはNPO法人マラリア・ノーモア・ジャパン 水野達男さん。

4/19(水)に開催するPASS THE BOOKに、『人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。』著者で、NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパンの水野達男さんをゲストに迎えます。


PASS THE BOOK は、各界でご活躍の方をゲストにお招きし、さまざまなテーマでお持ちの本の中から「受け渡したい1冊」を用意してもらい、参加者のひとりに「贈る(=Pass)」イベントです。ゲストにその本を選んだ背景や本への想いなどを語ってもらいながら、参加者の皆さんと対話を通じて交流を深めていただきます。その後、参加者は対話を通じて得た気づきや学びをメッセージカードに記入し、そのなかのおひとりに本を贈呈します。

1冊の本をとおして、ゲストと参加者がお互いを深く知り、それぞれにとっての気づきや学びを得る。そんな場になればと思っています。

今回のテーマは、「海外でのビジネスにおいて、背中を押してくれた1冊」。水野さんがどの本を用意していただくかは、イベント当日まで秘密です。イベントの詳細・申込は下記リンクにお進みください。


 

今回のブログは、ひとりの読者として、英治出版の山見が水野さんの著書で印象に残ったところや、PASS THE BOOKで伺ってみたいことを書きました。

 

水野達男さんについて

▲水野さん著書
『人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。』

米外資系企業勤務を経て、住友化学株式会社に入社された水野さん。2007年より、アフリカのタンザニアでマラリア予防蚊帳「オリセットネット」(住友化学の技術者が開発した、アフリカの環境でも長く効果が継続する防虫蚊帳)を製造・販売するジョイントベンチャーの日本側リーダーとして事業を軌道に乗せたあと、2012年にNPOに転身されました。

マラリア予防の蚊帳事業は、ビジネスの手法で途上国の貧困層の問題解決を目指す「BOPビジネス」の先駆事例として注目されましたが、その裏には、数々の苦労と失敗がありました。その経験が水野さんの人生観を変え、「マラリアで苦しむ人を1人でも減らす」という想いから、現在の活動をされています。

 

52歳のある日、アフリカが目の前に振ってきた…!そして、いつしかアフリカが大好きに。

実は、水野さんがアフリカと関わりはじめたのは、52歳のとき。予想もしていない、本当に突然のことでした。それ以降も、苦労や失敗がたくさんあったのに、「僕はアフリカやアフリカの人たちが大好きになっていった」と水野さんは言います。ある日突然、アフリカが目の前に振ってきてから、水野さんがアフリカにどっぷりはまっていく変遷が語られているのですが、何事もポジティブにとらえようとする姿には、水野さんがお持ちの哲学が表れているなと感じます。

“直感や流れに身を任せてもいいこと、
時には心地よい場所から出ること。”

“自分が大事にしている価値観に従うこと。”

“人生は選択の連続だ。自分の意志と責任で選び、
結果も引き受ける。それが成長につながる。”

私はこれらの言葉に大変共感したのですが、流れに身を任せ、時に心地よい場所から出ることは、勇気や不安が伴う場合もあるのかなと思いました。その場合、どうやって勇気や不安と向き合われたのか伺いたいと思いました。

 

携帯電話は持っているが、移動は徒歩、水汲みにはロバを連れるマサイ族。日本や欧米とは発展のプロセスやスピード感がかなり異なるアフリカ。

水野さんの経験から、興味が湧いてくるのが「アフリカ」という地域についてです。水野さんがはじめてアフリカと関わるようになった2007年、マサイ族の人は携帯電話を使っているにもかかわらず、移動は徒歩、水汲みに行く際はロバを連れていたそう。それが2013年頃になると、移動はバイク、水道はまだ通っていないので、水汲みはポリタンクを利用するという様子。日本や欧米とは発展のプロセスやスピード感がかなり違うことがわかります。

他にも、タンザニア工場の従業員が給料日の翌日から出勤しなくなったというエピソードがあるのですが、彼らには「働くモード」と「お金を使うモード」があるそうです。アフリカって実際どんなところなんだろう、どんな人たちがいるんだろう、そう思わずにはいられなくなりました。

 

生粋のマーケター、現地のスーパーマーケットに挑戦。

事業がはじまってからのしばらくは、国際機関からの資金を元に現地の保健省やNGOなどがオリセットネットを購入し、無償配布するか安価で提供するケースがほとんどだったそうです。そこで、マーケターとしてのキャリアを長く積まれてきた水野さんが挑戦したのが、現地の人のお財布から直接、オリセットネットを買ってもらうこと。ケニアのスーパーマーケットにオリセットネットを並べて行われたこのチャレンジは、なんと1年後には、現地でのトップシェア20%達成したというので、驚きです。どのようなステップでこの結果を得られたのか、工夫した点などを伺いたいと思いました。

 

「折り鶴」で品質管理を改善!

折り鶴と品質管理。一見、両者がどう関係しているのか、不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。水野さんは、日本人とタンザニアの工場で働く人たちが持つ「品質」の考え方があきらかに異なっていたことがわかったとき、折り鶴を用いて、各工程の責任者に対し、品質管理の研修を行いました。紙の端と端をきれいにそろえてから折る。その積み重ねで、ようやく美しい折り鶴が完成する。品質管理も同じことだよ、と。日本人にとって、馴染みのある折り鶴ですが、現地工場で働く従業員にとっては、驚くべき発見だったそうです。

品質管理の大切さへの理解を深めてもらうために、折り鶴を活用されたのは、名案だ…!と思いました。他にも、現地の方と協働するうえで活用されたアイデアなどがあれば、ぜひお聞きしたいと思いました。

 

水野さんをお招きしてのPASS THE BOOKは、4月19日(水)19:00開催です。「アフリカ」や「ビジネス」「キャリア」など、さまざまなトピックで水野さんとお話ができる機会ですので、ぜひいらしてください。

 

 

▼『人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。』の内容に関連する書籍

『アフリカ 希望の大陸』

『BoPビジネス3.0』

『未来をつくる資本主義[増補改訂版]』
(住友化学の専務も推薦!)

『世界とつながるビジネス』

『日本人が海外で最高の仕事をする方法』

『異文化理解力』

※イベントにご参加の方は、英治出版の本が割引価格でご購入いただけます。

今年もロンドン・ブックフェアに参加。出版社が運営する書店、London Review Bookshopも訪問しました。

3月14日(火)~16日(木)にロンドン・ブックフェアが開催されました。海外の出版社とミーティングをおこなうため、英治出版は毎年参加しています。今回は、プロデューサーの安村と平野、コーポレート・コミュニケーションの山見の3名で参加し、海外で出版されるさまざまな本を紹介してもらいました。特に今回は、経済格差に関する書籍の紹介が多かったです。

↑ブックフェア会場。ブースがたくさんあります。

↑ブックフェア会場の入口付近。

各社とのミーティングでは、日本で出版した本の状況などをお伝えすることもあります。たとえば、先日発売した『なぜ僕たちは金融街の人びとを嫌うのか?』の原書(Swimming with Sharks)を出版しているAndrew Nurnberg Associates社とのミーティングでは、著者・ヨリスさんが来日されたときの様子をお話しました。特に、日本の複数のメディアがヨリスさんをインタビューしたことが嬉しかったようで、とても興奮されていました。原書の出版社の方と、こうして細やかなコミュニケーションをすることで、著者の応援が加速するような気がしました。

なお、ヨリスさんのインタビュー記事はこれから随時、公開される予定です。現在は、東洋経済オンラインの記事や『3月のライオン』監督・大友啓史さんとの対談記事がcakesでご覧いただけます。

 

ロンドン滞在中はブックフェア以外に、『夢とスランプを乗りこなせ』著者でイラストレーターのベン・タロンさんにお会いし、彼のスタジオや思い出の地を案内してもらいました。

↑駅で待ち合わせをしたときのベンさん。あたたかく迎えてくれました。

 

また、事前に調べて気になっていた書店「London Review Bookshop」を訪問しました。

London Review Bookshopは、大英博物館のすぐそばにあります。London Review of Booksという雑誌を発行している出版社(出版社名もLondon Review of Books)が、書店「London Review Bookshop」とカフェ「London Review Cakeshop」を運営しています。英治出版も出版事業を中心におこなっているので、新しい事業まではいかずとも、新しい取り組みなどのヒントがありそうだと思い、訪問することにしました。

彼らが毎月2回発行している雑誌がこちらです。

雑誌名からは、ロンドン在住著者の本の書評が掲載されているのかな? と想像できますが、実際の内容は、世界情勢に関すること(特にヨーロッパ各国に関する政治について)や、各国の歴史など、ロンドンに限らないさまざまな分野の記事が掲載されています。もちろん、イギリスやロンドンの歴史や文学、芸術に関する記事もあります。たとえば、最新号VOL.39 Number.7では、シリア情勢やウィンストン・チャーチル元首相に関する記事が書かれています。雑誌のアプリもあるので、日本に住んでいても記事を読むことができます(1部600円)。

店内を見ながら発見した、彼らのユニークな点は、雑誌の表紙をカレンダーやポストカード、アートに活用していることです。雑誌の表紙は、毎回異なるイラストレーターがデザインしているようです。

また、書店とカフェは18:30(日曜日は18:00)で営業を終了しますが、19:00からほぼ毎日、イベントが開催されます。私たちが訪問した日もイベントが開催予定でしたが、事前予約チケットが売り切れるほどの人気でした。その日のイベントは、Close to the Knives: A Memoir of Disintegrationという書籍の復刻版発売記念イベントの開催でした。イベントに参加できない場合も後日、ポッドキャストで内容を聴くことができるようです。ほかにも、Customer Eveningsという、お客さん感謝デーのようなイベントも開催しています。感謝デーでは、本が割引で買えたり、ワインや軽食を楽しめるそうです。

↑店内に掲示しているイベントのチラシ

 

今回の訪問をとおして、「自分たちがすでに持っているものを活かしながら、コミュニケーションを生みだす仕掛けづくり」を学びました。「コミュニケーションを深める仕掛け」も混ぜ合わせながら、今後英治出版でも活かしていきたいと思いました。

「システム思考」や「やり抜く力(GRIT)」を育む「ワールドピースゲーム」の魅力とは。

こんにちは、プロデューサーの下田です。

世界の課題解決型シミュレーションゲーム「ワールドピースゲーム」in EIJI PRESS Lab、いよいよ3週間後(4月1日~5日)に迫ってまいりました! まだもう少し枠がありますが、参加をご検討中の方に向けて、このゲームに私が惹きつけられた理由をご紹介したいと思います。

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実は、私には子どもがいませんが、もし自分に子どもができたら「いつか参加してほしい!」と強く願っています。というのも、これからの社会で求められる力を育むのに最適なゲームではないか?と考えているからです。

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その力とは、物事の全体を見渡して俯瞰的に考える「システム思考」や、みんなで協力する「チームワーク」、また「やり抜く力」「好奇心」「自制心」といった非認知的スキルというものです。「非認知的スキル」については、最近ベストセラーになった『GRIT やり抜く力』や『学力の経済学』、英治出版から出した『成功する子 失敗する子』などに詳しく書かれているのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

では、なぜワールドピースゲームがこれらの力を育むのでしょうか? 私はこれまで2回見学しましたが、大きく5つのポイントがあると感じました。

  1. システム思考:大人もびっくりするほど複雑に絡み合った答えのない課題に向き合い、全体的な視点での解決策を探る。
  2. チームワーク:首相や財務大臣、国連から武器商人まで、どの役割も欠かせないもの! 「自分が世界平和のために何ができるか」を問われます
  3. 好奇心:環境問題、民族紛争、領土の奪い合い、テロ、クーデター、秘密国家など、リアリティあふれる世界観に子どもたちがのめり込む
  4. 自制心・やり抜く力失敗や予期せぬ事態にどう対処するか? つねに学び直しながら解決策を自分たちで見つけ出していく。
  5. 交渉力:ゲームのカギとなるのは「交渉」。いかにWin-Winの関係になれるかを探っていく。

 

1.システム思考:大人もびっくりするほど複雑に絡み合った答えのない課題に向き合い、全体的な視点での解決策を探る。

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ワールドピースゲームは40年以上にわたって改良が続けられています。あまりに簡単に終わってしまうと、「子どもたちが、答えがないような困難な課題に向き合う時間を大切にする」という意図からずれてしまうため、開発者のジョン・ハンター氏は課題や役割を見直して、ゲームをどんどん複雑なものにしていきました。

たとえば、ゲームで解決すべき課題は50以上ありますが、「あっちを解決すれば、こっちの問題が悪化する」というふうに、課題同士の利害がぶつかってトレードオフになっている場合が多々あります。つまり、対症療法的な解決策ではなく、「全体の視点で考えて、新しい解決策を見出す」必要があるのです。

これはまさに『学習する組織』でいう「システム思考」。子どもたちはゲームを通じて、自然とシステム思考の考え方を学んでいくでしょう。

ちなみに、複雑だからと言って事前に知識はいりません! 先ほども述べた、ゲームで大切にしている「答えがないような困難な課題に向き合う」時間が損なわれてしまうからだそうです。

 

2.チームワーク:首相や財務大臣、国連から武器商人まで、どの役割も欠かせないもの! 「自分が世界平和のために何ができるか」を問われます。

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ゲームの最少催行人数は25名。子どもたちは4つの国家の首相、財務大臣、防衛大臣、国連、武器商社などの役割を与えられます。さらに、「運命の女神」や秘密の「破壊工作員」といった、アクロバティックな役割もあります。

首相は交渉を担い、財務大臣は国家財政を管理し(計算を間違うと罰金も!)、防衛大臣は軍や武器を管理する。そして国連は各国の交渉を仲介し、武器商社は国家に武器を売り買いする。まさに現実世界と同じような役割が一人ひとりに与えられているのです。一人ひとりが役割を果たさないと、「課題をすべて解決する」「すべての国の資産を上げる」というミッションを達成できません。

見学中に強く印象に残ったのが、「武器商社」となった男の子の姿でした。実は、ゲームのはじめのうちは国と国との交渉がメインとなるため、誰とも話さずに会場を歩き回っているだけのように見えました。

外から見ていて「あの子はあまり参加できていないのでは」と心配になりましたが、後日伺った話によると、ご家庭に戻った時に「武器商社として世界平和にできることって何?」とご両親に尋ねていたそうです。「そんな哲学的なことを考えていたとは!」と本当に驚きました。

 

3.好奇心:環境問題、民族紛争、領土の奪い合い、テロ、クーデター、秘密国家など、リアリティあふれる世界観に子どもたちがのめり込む!

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ゲームの舞台は宇宙、空、陸、海を表す4層のタワー。その上に4つの国家の領土、軍隊、工場、資源などを表す人形やプラモデルが配置されています。これらはゲームの課題と密接にリンクし、紛争状態を示すバトルマークがあったり、オイルタンカーの原油流出を示す糸の輪っかがあったりします。

子どもたちは真剣にタワーを眺めながら、議論をしたり交渉したりしていました。「課題」を頭だけで考えて解決しようとするのではなく、五感を使いながらゲームの世界にのめり込む様子が伝わってきます。

課題も「二酸化炭素を減らすためには?」、「少数民族の反発を押さえながら紛争を収めるには?」といった、現実世界でも見聞きするようなことばかり。さらに、最初に用意された課題だけでなく、「A国でテロが勃発!工場を武装占拠した!」「秘密国家が核ミサイルを落とすことを宣言した!どうする?」など、進行に伴って次々と問題が発生します。

このリアリティが子どもの好奇心を刺激し、家に帰ってからも国際ニュースに関心が向くようになり、ゲームクリアのヒントを探そうと、国際関係や紛争問題について自分で調べるようになったお子さんもいるようです

 

4.自制心・やり抜く力:失敗や予期せぬ事態にどう対処するか? つねに学び直しながら解決策を自分たちで見つけ出していく。

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ゲームの最初のうちは、複雑すぎる課題の数々を理解するのに必死で、どの子もどう進めていいかわからずに圧倒されるそうです。そして、安易な解決策を出してしまうと別のところで問題を引き起こしたり、先ほども説明したように突発的な事件が起こって問題が複雑化したりします。

しかし、投げ出してしまいたい欲求を抑えて交渉や議論にじっくり取り組んでいくと、次第に全体が見えてくるようになりますつまり、自制心が求められるのです。そうすると一つずつ課題を解決していくことができるので、「協力すればできるかも…」という意識が芽生え、途中から解決スピードがぐんと上がることもあります。

「一見無理に思えた課題でも、何とかやり切った」という達成感が、子どもたちの「やり抜く力(GRIT)」につながるのではないでしょうか。

 

5.交渉力:ゲームのカギとなるのは「交渉」。いかにWin-Winの関係になれるかを探っていく。

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ゲームは「交渉」と「宣言」の時間が繰り返されながら進んでいきます。

「交渉」時間では、子どもたちは各国と課題を解決するための交渉を行い、契約書や請求書・領収書など、国際社会に認められるための必要な書類を揃えなければいけません。

「宣言」では、各国首脳がみんなの前に立ち、どの国とどんな取り決めを行ったのか、またどういうふうに軍隊を動かすかということを全体に発表します。ファシリテーターは関連する国や組織に「この決まりについて把握していますか?」と細かく確認していくので、きちんとした書類を見せる必要があるのです。

交渉を通じて、「原油流出の賠償額」「軍隊撤退の費用」について、どちらの国がどれくらいのお金を出すのかをきちんと決めておく必要があります。最終的にすべての国の資産を増やさなければいけない(自分だけの国が増えていればいいわけではない)ので、豊かな国だからといって気前よくお金を出すわけにはいきませんし、「交渉に勝つ」ことにこだわってばかりもいられません。

自分たちの要求をどこまで通しつつ、どこまでであれば譲歩できるのか、といった見極める力と交渉力が求められるのです。

 

 

いかがでしたか? 長々と書いてしまいましたが、実際にゲームを目の当たりにすると、もっともっといろんなことを感じます。5日間という短期間ながら頭をフル回転させる濃密な時間、ゲーム後に大きく変わったお子さんの姿に驚かれる親御さんが多いのも納得です。

チャレンジ精神と好奇心あふれるお子様のご参加をお待ちしております!

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英治出版公式ブログ