【報告】『日本と出会った難民たち』×『海を渡った故郷の味』出版記念トークイベント@代官山蔦屋

7月2日(火)、『日本と出会った難民たち』と『海を渡った故郷の味』の出版記念として、
ジャーナリストの根本かおるさんと難民支援協会の田中志穂さんのトークイベントを、代官山蔦屋さんにて開催いたしました。

今回のイベントではゲストにクルド難民の方をお呼びして、さらにクルドの郷土料理、「ドルマ」と「キョフテ」の試食もありました。定員ギリギリの数のお客様にご来場いただき、いっときはお料理が足りないかも……?! なんて心配もしてしまうほどの、大盛況となりました。
(お料理が少なめになってしまったお客様、すみません! ぜひレシピをもとにご自宅でチャレンジしてみてください!)

 

まずはじめに、田中さんから日本における難民の現状のお話がありました。

 

アメリカやイギリスでは難民認定率約50%のところ、日本ではなんと0.2%。
あまりの少なさに来場者の方々は「え?」という表情。
これってつまり、2012年の場合なら、2,545人の「私は自国で生きるには命の危険がある。難民として認めてくれ」と命からがら逃げてきた方に対して、 日本政府は18人にしか「わかった、日本で安心して暮らしてください」と言っていない、ということです。

なぜこんなにも認められないかといえば、「証拠書類不十分」だからだそうです。

紛争のある、毎日が生きるか死ぬかの生活をしていた人がなんとか出国したという矢先、そんな書類を用意できるとでも思っているのでしょうか……。
少し立ち止まって考えてみればわかることなのに、日本の政府はこうして難民認定をなかなか出そうとしていないという現状に、打ちひしがれるとともに怒りを感じました。

※認定がおりないとしても、母国に帰ると命の危険があると思えば、帰国の選択肢をとることは現実的には難しいです。再度難民申請をおこない、引き続き先の見えない不安な日々を過ごす人も少なくありません。時には、在留資格が切れてしまい、オーバーステイ状態での滞在を余儀なくされ、「非正規滞在」ということで収容されてしまう人もいます。

 

次に、根本さんよりすこし希望を感じるお話です。

 

根本さんは以前、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)職員としてトルコ、アフリカ、ネパールなどで活動をしていらっしゃいました。活動前は、難民といえば「苦しい思いをしている、大変な人々」というイメージだったところ、実際に生活を共にしたときに感じたのは「なんて力強く気高い人々なんだ」というものだったそうです。

これまでの活動で出会ってきた方のお話や、今回書籍執筆に際して取材されたロヒンギャ難民の方、ミャンマー難民の方、クルド難民の方などの活躍をご紹介いただきました。

書籍でもとり上げられていますが、ユニクロのインターンとして活躍されていた方の心配りや気配りのこまやかさなど、背筋が伸びる思いで聞かせていただきました。

 

そして、日本滞在歴8年の、クルド難民の方のご登場です。

みなさん、食い入るように聞いています。
日本に逃げてきたときの様子、難民認可がおりるまでの話、家族のこと、日本で生まれたわが子のこと、認可のない友人が日本に来たときのこと(その方は結局日本から追い返されてしまったとのこと……)……。

既述のように「証拠がない」と言われなかなか認可がおりなかった頃、実際に「収容」されたこともあったそうです。 何も悪いことはしていないのに、罪人のように扱われ、いつそこから出られるのか、いつ命の危険のある母国に追い返されてしまうのか、そんな日々を送る経験をされた方の言葉はとても重く、自分の無知無力さを思い知るばかりでした。

そんな難民の方は現在会社を経営し、日本人も難民の方も雇って仕事をされているとのこと。
「こうやって仕事を提供することで難民支援を自分もしている。 日本人ももっと難民をサポートしてほしい」。
「これから日本を動かすのは、いま若い人たち。もっと若い人がたくさん声をあげて騒いでいってほしい」。

このふたつのことを、何度も繰り返されていました。

(イベント後、日本語が本当にお上手だったのでそのことについてご本人に話しかけたところ、「だって、そうじゃないと裁判もできないし生きていけなかったからね」と。 なんて愚問をしてしまったんだと自分を恥じつつ、一層その困難とたくましさを感じました。)

 

会場全体が、「難民問題」の大変さと希望の入りまじった、「私たちはどうすればいいんだ……」という空気につつまれたところで、ついにクルドの郷土料理「ドルマ」と「キョフテ」の登場です。(この瞬間、会場のみなさんの顔と背中の緊張感が、ふっとゆるんでいました。「食」のパワーってすごいです。)

 

そして、クルドで代々母親から娘へと継がれる「オヤ」というレース編みの販売も行われました。
この「オヤ」は、ニットのように型紙があるのではなく本当に「手から手へ」伝承されるそうで、ひとつひとつが唯一無二のデザインです。
(まるで和太鼓や歌舞伎のようで、親近感がわきました)

 

最後に質疑応答、サイン会とつづき、大きな拍手とともに閉会となりました。

 

この日は、お客様としてなんとモデルの道端ジェシカさんも来場され、早速ツイッターで難民問題についてシェアしてくださいました。

道端さんは以前ネパールにあるブータン難民キャンプに訪問されたそうで、国連UNHCR協会の支援活動などにも参加されているそうです。
(道端さん、シェアありがとうございます!)

 

根本さん、田中さん、難民支援協会のみなさま、代官山蔦屋のみなさま、そしてご来場くださったみなさま、本当にありがとうございました!!

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今回のイベントや書籍、ブログを通して少しでも興味をもった方は、ぜひ周りの方へ「難民問題」についてシェアしていただければ幸いです。

また、難民支援協会への寄付や、女性の方なら難民の方をスタッフに採用するネイルサロン「アルーシャ」でのネイルアートを通じて、難民支援ができます。ご関心のある方は、ご協力をお願いいたします。

 


日本と出会った難民たち――生き抜くチカラ、支えるチカラ
著:根本かおる (英治出版・2013)

四六判 並製 224ページ 本体1,600円+税 2013年4月発行
ISBN10: 4-86276-156-9 ISBN13: 978-4-86276-156-9

 

海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders
著:認定NPO法人 難民支援協会 (ジュリアン・2013)

並製 104ページ 本体1,500円+税 2013年5月発行
ISBN10: 4-86457-024-8 ISBN13: 978-4864570244

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