フェアトレードは、本当に社会を良くしているのだろうか?

遠い生産現場の人たちにも「しあわせを届ける」チョコレート

 

2月14日は「バレンタインデー」ですね。
去年のこの時期に、こんなブログ記事を書きました。

甘くないチョコレートの歴史を知っていますか?
http://www.eijipress.co.jp/blog/2015/02/20/20534/

長い歴史の中で、チョコレートを味わうことができる人たちがいる裏側で、生産地では厳しい現実が存在してきました。

 

そんな中で、近年は生産者の生活に配慮した「フェアトレード」のチョコレートも出てきています。

NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンの定義では、

フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指ざす「貿易のしくみ」

とされています。

たとえば今年、東京都の南青山と大阪府の中之島では、2/14まで「フェアトレード バレンタイン2016」を開催しています。

http://news.mynavi.jp/news/2016/01/19/161/

渡す相手に気持ちを伝えながら、遠い生産現場の人たちにも「しあわせを届ける」チョコレートです。

ぜひ選択肢の一つに!

 

 

フェアトレードは、「本当に」フェア?

 

さて、世界中に広がるフェアトレードですが、このような仕組みが「素晴らしい!」とされる一方で、こんな疑問を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか?

・「倫理的な商品です!」というラベルをマーケティングに使っているだけではないだろうか?
・「いいことをした」気になっているだけで、本当に大事な問題から目をそらしてはいないだろうか?
・フェアトレードは本当に社会に良い変化をもたらしているのだろうか?

フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』の著者であるコナー・ウッドマンさんは、まさにそのような疑問を抱きました。
そして、「倫理的ビジネス」の裏に隠された真実を探るために、世界中の貧しい国々を渡り歩きました。

・ニカラグアのロブスター漁現場
・中国の下請け工場
・コンゴ民主共和国の鉱山

例えばアメリカのある大手レストランチェーンでは、「人にやさしく社会に責任をもつ企業精神が評価されている会社です」と謳っています。
しかし、そこが仕入れているニカラグアのロブスター漁現場では、深度や酸素の残量がわかる機器もないままに危険なダイビングが繰り返され、潜水病などで命を落とす人が少なくない状況でした。
そして漁を行う彼ら自身は、ロブスターはもちろん、家族の食糧を買うお金すらまともに稼げていない状況だったそうです。

レストランのテーブルに置いてあるメニューには「何百万ドルも海洋保護に投資しています」と記されて、利用したお客さんは「いいことをした」という気分になれる…
しかしその裏側で、命にかかわるリスクを冒しているダイバーたちがいるのです。

「社会に良い商品です!」を鵜呑みにせずに、貧しい人々と一緒に暮らし、彼らの働き方を見て、彼らの話を聞く。
そうして著者が世界中で知った事実が、この本には詰まっています。

 

 

手っ取り早い解決策は存在しない、だけど…

 

本書は「フェアトレードは意味がない」と結論付けているわけではありません。
「宣伝文句だけのフェアトレードになってはいないか?」、一度立ち止まって改めて考えてみる本です。

著者はこう言います。

世界共通の手っ取り早い解決策など存在しない。(p.307)

そしてこうも。

一杯のコーヒーを買うために毎回タンザニアへ飛んだり、最新の携帯電話を手に入れるために中国へ飛んだりするわけにはいかない以上、末端の人々との仲介者、仲買人、橋渡し役として、大手企業に頼る以外にないのだ。

(中略)

企業が倫理的イニシアティブを立ち上げたり倫理的新製品を発売したりしたときに、それを支援するかしないかは消費者が決める。私たち消費者は力を合わせ、私たちの意思決定を通じて大手企業を操ることができる。そうやって大手企業の経営方法に影響を与える力を私たちはもっている。最終的には、私たち全員が責任を担うのだ。

「CSR」は、「Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)」であると同時に、「Consumer Social Responsibility(消費者の社会的責任)」でもあると言われています。

良いものを作る企業があって、良いものを見抜いて購入する消費者がいる。
そんな社会に近づくために、本書が「本当に良いものは何か」を考えるきっかけになれば幸いです。

130730|Unfair Trade|カバー
フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』著:コナー・ウッドマン

 

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