3月11日に向けて①――客観的に振り返り、改めてこれからを考える。

あれから5年

 

2011年3月 11日に起きた東日本大震災から、今年で5年になります。
新聞やテレビ番組でも、震災関連のニュースが報じられる機会が増えてきました。

あの瞬間、何をしていたか。
あれから、自分はどう変わったか。
現場は、今どういう状況にあるか。

間もなくその日を迎える今、皆さんはどんなことを考えているでしょうか?

 

震災後、英治出版は自分たちの力でできることを考え、「出版」という手段を使って『災害時のこころのケア』を製作し、被害にあわれた地域に配布いたしました。

災害時のこころのケア表紙_3.11用

『災害時のこころのケア』 10万部を無償配布します

 

5年経った今私たちにできることとして、あの出来事を風化させずに、この節目の時に、改めてこれからの私たちのあり方を考えるきっかけになる本を紹介したいと思います。

・あの震災の後、日本はどう変わったのか?あるいは変わらなかったのか?
・「コミュニティ」「対話」の力が被災地にもたらすもの
・本当に相手のためになる支援とは何か?

この3つのテーマで、3タイトルをご紹介していきます。

 

今回の記事では、このタイミングで英治出版から発行することになった『3.11 震災は日本を変えたのか』を。

 

 

3つのナラティブ(物語)

 

未曽有の事態を経験して、各所で盛んにこう叫ばれました。

「日本は変わる」

皆さんは、実際にどれくらいの変化を感じられましたか?
果たして本当に変化は起きたのでしょうか?

何が変わり、何が変わらなかったのでしょうか?

著者のリチャード・J・サミュエルズ教授は、「安全保障」「エネルギー」「地方自治」の3つの分野から、それらを解き明かしていきます。
そしてこの各分野において、政治家やメディアは、この災害を様々なナラティブ(物語)で解釈し、国民を牽引しようとしていたと言います。

その主なナラティブは、次の3つです。

・新たな方向へ進む必要がある(劇的な変化を支持)
・モデルは変えず、以前よりもうまく行うべきだ(現状維持を支持)
・理想的な過去に戻らなければならない(過去への回帰を支持)

次の表は、事例を挙げて「3つの分野」と「3つのナラティブ」を掛け合わせた簡易図です。

3.11表

このようなナラティブが、いったいどのように語られ、何を生み出したのでしょうか?
当時の状況を「ナラティブの闘い」として見つめ直すことで、これからを考える手がかりも見つかるかもしれません。

 

 

いま一度、客観的な目線を

 

この本の特徴は、日本の政治・安全保障を専門とする海外の研究者が客観的に震災後の変化を論じていることです。
膨大な資料から、当時の政治家の発言や、災害の歴史的・国際的比較まで綴られています。

ぜひいま一度、この客観的な目線から「あの時」と「これまで」を見つめ直し、そして改めて自身の視点で「これから」を考える機会にしていただけたら幸いです。

3.11表紙背景付

3.11 震災は日本を変えたのか
著:リチャード・J・サミュエルズ

リチャード・J・サミュエルズ Richard J. Samuels
マサチューセッツ工科大学(MIT)政治学部フォードインターナショナル教授、MIT国際研究センター所長、MIT日本研究プログラム創設者。専門は日本の政治、安全保障。1992~95年MIT政治学部長、2001~08年日米友好基金理事長を務めた。日米の相互理解と文化交流への寄与により旭日重光章を受章している。著書『富国強兵の遺産―技術戦略にみる日本の総合安全保障』(奥田章順訳、三田出版会、1997年)で日本に関する優れた英語文献に贈られるジョン・ホイットニー・ホール・ブック賞および有沢広巳記念賞を受賞。また『日本における国家と企業―エネルギー産業の歴史と国際比較』(廣松毅監訳、多賀出版、1999年)で大平正芳記念賞を、『マキァヴェッリの子どもたち―日伊の政治指導者は何を成し遂げ、何を残したか』(鶴田知佳子、村田久美子訳、東洋経済新報社、2007年)で米国政治学会エルビス・シュローダー賞を受賞した。他の著書に『日本防衛の大戦略―富国強兵からゴルディロックス・コンセンサスまで』(白石隆訳、日本経済新聞出版社、2009年)などがある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です