甘くないチョコレートの歴史を知っていますか?

さて、皆さんはチョコレートについてどれくらい知っていますか?

この記事では、決して甘くはない、ビターなチョコレートの歴史を、『チョコレートの真実』(著:キャロル・オフ)から紹介してみたいと思います。

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「神々の食べ物」の起源

 

チョコレートの原料・カカオと言うと、コートジボワールやガーナという“アフリカ”のイメージが強いかもしれません。

実際に、2013〜14年のカカオの生産量は、コートジボワールが161.0万トンで世界第1位(シェア38.7%)、ガーナが85.0万トン(20.4%)で第2位。

両国合わせて世界の生産量の約6割を占めています。

▼世界国別カカオ豆生産量推移
http://www.chocolate-cocoa.com/statist…/cacao/product_w.html

 

ところが、歴史を辿っていくと、実はカカオの原産地はアフリカではありません。

その起源は、紀元前1200年頃のメソアメリカ(メキシコ〜中央アメリカ北西部)にありました。

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メソアメリカ

 

この地域に現れたオルメカ文明において、女性達が主人に差し出す飲み物に加えたもの…

それがカカオでした。

高い栄養価・覚醒作用・癒しの力があると信じられていたこのチョコレート風の飲料を口にできたのは、ごく一握りの上流階級だけ。

続くマヤ文明やアステカ文明でも、「カカワトル(カカオの水)」は受け継がれてゆきました。

やがて、神聖なこの飲み物は宗教儀式や神々と結びつき、カカオの豊かな収穫を願って捕虜の人間たちは生け贄に捧げられていったそうです…

カカオの木の学名「テオブロマ・カカオ」は、ギリシア語で「神々の食べ物」を意味すること、

また、カカオは公式通貨として使われた過去があることなど、

昔からカカオには単なる食べ物以上の深い意味があったのです。

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過酷な奴隷労働の上に

 

しかし、これらの文明は、大西洋を渡って来たスペインの遠征軍によって破壊され、植民地として支配されるようになってゆきます。

カカオはスペインに伝わり、次第にヨーロッパに広がってゆきました。

チョコレートの需要がヨーロッパで拡大すると(※当時はまだ固形の食べ物ではなく飲み物として親しまれていた)、生産量を上げるために、植民地のカカオ・プランテーションでは事実上の奴隷制度のような重労働が強いられるようになりました。

天然痘やはしかの流行に加え、このような過重労働や虐待によって生産人口は激減します(一説では、人口の90%が死に追いやられたという推計すらあるそうです)。

その労働力不足を補うために投入されたのが、アフリカからの奴隷たちでした。

こうして、ヨーロッパは三角貿易を確立します。

ヨーロッパからアフリカへ武器を中心とした商品を、アフリカからアメリカ大陸へ奴隷を、アメリカ大陸からヨーロッパへ砂糖・綿花・そしてカカオを…

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人権を謳いながら…

 

この三角貿易によって栄えたヨーロッパに啓蒙主義の時代が訪れます。

ロック、ヴォルテール、ルソー…

ヨーロッパ各国に現れた思想家たちは、人間の自由・平等・博愛を説いてゆきます。

このヴォルテールが思索にふけり、議論を交わし合ったという店があります。

その店は、ロンドンのセント・ジェームズ街にある「ココアツリー・チョコレートハウス」でした。

人間の向上を目指し、人権の擁護を謳いながら飲んでいたもの…

それは、遠い地の奴隷たちが汗と血を流して作っていたチョコレートだったのです。

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啓蒙主義者、ヴォルテール

 

 

アフリカへ

 

19世紀半ばになると、アメリカ大陸の植民地におけるカカオ生産量が壊滅的に激減します。

理由は、過剰生産と粗雑な管理によるカカオの病害でした。

しかし、カカオ商人たちは、赤道の南北緯20度以内の高湿な低地であればカカオの生産は可能であることを知ります。

そこで発見された次の生産地がアフリカだったのです。

アフリカは、かつてカカオ生産のためにアメリカ大陸に奴隷として輸送された人々が生まれ育った国です。

ヨーロッパは、今度はカカオをアフリカへ持って行ったのです。

こうして、コートジボワールやガーナでは現在まで続くカカオ生産が行われるようになりました。

アフリカ

 

 

今とこれから

 

現在でも、カカオ生産の現場では児童労働が行われている場所があると言われています。

彼らの多くは、輸出先でカカオがどう使われているのかを知らずに作り続けているそうです。

私たちはこの現実に対して何をすべきでしょうか?

そのヒントは、歴史と現実をしっかりと見つめることかもしれません。

『チョコレートの真実』は、そのための一冊です。

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『チョコレートの真実』

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