「英治出版ってどんな会社?」会社説明会での代表・原田の話

8月24・28日、英治出版の会社説明会を開催しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

採用選考に際して弊社への理解を深めていただこうと企画した、創業以来初めての会社説明会。といっても堅苦しいものは英治出版らしくない、ということで、皆さんに円形に座っていただき、アイスブレイクをしてスタート。代表・原田による経営理念の話、事業の概況説明、募集職種であるプロデューサーの仕事内容の紹介を経て、ワールドカフェ方式によるQ&Aセッションを実施しまし。さまざまな立場のメンバーと直接お話ししていただきました。

当日の説明資料はこちらに掲載しましたので、よろしければご覧ください。代表・原田の話「英治出版ってどんな会社?」については、以下をお読みいただければ幸いです。


英治出版ってどんな会社?(英治出版代表取締役・原田英治)

こんにちは。英治出版の原田です。今日はご参加ありがとうございます。

「英治出版ってどんな会社?」ということで、私からは、英治出版の創業の思いなどについてお話ししようと思います。

 

英治出版は1999年6月22日に埼玉の自宅で、妻と創業いたしまして、来年の6月に20歳を迎えます。

創業後に妻とランチをしながら、「会社ができたんだから、就業規則が欲しいよね」という話になり、就業規則を作ろうということになりました。

しかし考えてみると、ルールって作りたくないな、と。

「英治出版の社員として、誇りを持って行動すること」。以上。みたいなのがいいなと思ったんですね。

以来、英治出版の中には、必要最低限のルール以外、明確な規則というものはできておりません。

ルールのない会社を作りたいなと思ったんです。

それはなぜか。そもそも英治出版を設立した理由が、「社員の夢が大きくならないような会社じゃダメだ!」という思いでした。僕は、子供が一歳半の時に、以前勤めていた会社をやめてしまったんです。会社の社員やそれに関わる人の夢が大きくなって、いろんないいものが生み出される会社がいい!と思っていたけど、前の会社ではそれが感じられませんでした。だから自分で会社を作ろうと思った。それで英治出版ができました。

社員の夢が大きくなる会社。だから、「自律的に誇りを持って行動できる会社」、それ以上にルールって必要ないんじゃないか、という話になりました。

 

さて、社員の夢を応援しよう! そう思ったんですが、社員がいない! びっくりしました。

それなら、ということで、著者の夢を応援しようということになりました。

1999年のその頃、出版業界では既に、本は売れなくなるとだいたい絶版になっていました。日本で出ていた本の8割が、品切れや絶版で買えないんです。2001年にアマゾンができたとき、驚愕しました。今でこそ、アマゾンのマーケットプレイスなるものができて、古本が買えるんですが、当時は登録されている本のうち大半のものが買えなかったんです。当時はみんなアマゾンで古い本を買おうとは思っていなかったかもしれませんが。

それで、もしかするとある意味、大手出版社に対するアンチテーゼかもしれないけど、「著者を応援する」出版社、本を簡単に絶版にしない出版社を作りたいと思いました。

英治出版は、創業から19年間で300以上のタイトルを出してきたんですが、99年に出した本も含めて94.7%の本が今でも売られ続けています。中には著者の都合、会社の倒産、版権の都合で出せなくなったものもあるんですが、94.7%は絶版にせず稼働しています。

 

実は、僕自身は、本はあまり読みません。そんなに読書家ではなくて。本を読んでると他のことを考えちゃって、妄想が始まって、結局、読みきれないんです。

どちらかというと、本を読むというより、人と話したりする方が好き。そして、人を応援するのが好きです。応援していると、いいことが起こるんですよ。それを体感しながらできてきた経営理念が、「誰かの夢を応援すると自分の夢が前進する」というものです。

今は本当にそれを実感しています。99年に埼玉の自宅で創業したときには、そこの本棚に並んでいるような、すばらしい著者の方々の本を自分が出版するようになるとは思えませんでした。一冊一冊、人との関係性、著者との関係性をコツコツとつなげていった結果、自分では想像できなかった夢がかなってきているような気がしているんです。

仲間とつくる現実が、自分の理想を超えてしまう。そう思っています。

 

「現実が理想を超える」という言葉は、26歳の頃、特別養護老人ホームの理事長の方に聞いた言葉です。20代の僕には理解できませんでした。「現実が理想を超えるわけないじゃん」と。でも今は、自分なりに解釈できています。実際に、自分の想像力でなし得ることを、仲間との現実が塗り替えていっているんです。

振り返れば、埼玉で思い描いていた「理想の著者」をはるかに超える「理想の著者」と仕事ができています。

 

僕の好きな、”Six Degrees Of Separation”、つまり「6次の隔たり」という考え方があります。ネットワークについての考え方です。

たとえば、僕の直接知っている人、たとえばここに座っている安村さん(英治出版社員)は社員なので、僕とは1次の隔たりの関係にあります。安村さんの友達と僕とは、2次の隔たり。このように関係を2次、3次とつなげ、6次まで広がると、全人類がつながる。そんな仮説です。

この話を聞いたとき、いわゆる人脈の広い人って、1st degreeを多く持っている人ではないんだ、と思いました。全人類と1st degreeで知り合うことは物理的に不可能ですよね。要するに、多くの人とつながっている人は、2nd degreeや3rd degreeの関係をうまく活用できる人のことなんだ。と。

昔はパーティーに行って1degreeな名刺交換をして、それで人脈が広がったように思えていたけれど、それは違っていました。目の前の相手と深く知り合うことで、2nd degreeを引き出しやすくする、その1st degreeの深さこそが「人脈が広い」ということなんだと思うようになったんです。

たとえば、安村さんのことを「出版社の人」と見ているだけだと、安村さんには出版のことしか相談しないかもしれない。でも、この1 degreeの関係を深くして、いろいろ知ると、「アフリカが好きなんだ!」とか「学生時代に剣道をやってたんだ!」とか、知れば知るほど、持っていそうな友達など、この人の先の2nd degreeが見えてくる。

目の前の相手を真剣に応援し、その人との関係性が深まることで、2nd degreeや3rd degreeが広がっていくんです。

昔『Yahoo!はなぜ最強のブランドなのか』という本を作ったときのこと。ある友達から、「Yahoo!創業者のジェリー・ヤンのメールアドレスを教えてくれ」と言われました。でも英治出版は本の版権を買っただけで、創業者のアドレスなんて知りません。ですが、念のためにシリコンバレーに詳しい友達何人かに「ジェリー・ヤンのアドレス知らない?」と聞いてみました。すると、なんと2人から、「これがジェリーのアドレスだよ」って返信がきたんですね。たまたまのことかも知れないけど、Yahoo!の創業者って僕と2 degreesの関係にあったのか、とびっくりした次第です。

そんな経験もあって僕は、誰かを応援するという時に、自分の2 degreesを想像できているか、ということが非常に大切だと思うようになりました。

自分の1st degreeの友達は知っているけど、あの人だったらこんなことを知っているかも知れない、というところまで自分のネットワークと捉えて、目の前の人と向き合う。目の前の人ももしかしたら、2nd degreeを持って今、話してくれているかもしれない。他人同士が2nd degreeを持って会話をすると、2nd degreeの2nd degreeで5th degreeの会話になるんです。二人いるだけで5th degreeの会話ができる! 6th degreeで全人類がつながるのに、たった2人で5thまで行けちゃうんだ! そんな気がしていて、これが英治出版の経営理念の源泉になっています。

「誰かの夢を応援すると、自分の夢が前進する」。人の夢を応援することによって、自分の夢が巡り巡ってどこかで前進していく。これは決してギブアンドテイクではなく、いわば世の中に貯金をしていくようなイメージで、ものごとが進んでいって、気がつくと自分の夢が進んでいるということです。

目の前の好きな人を全力で応援する。それを大切にしています。

だから逆に言えば、英治出版は嫌いな人とは商売しないんですよ。儲かりそうでも、嫌いなら仕事しない。社内の企画会議では、全員が共感することが企画決定の条件になっています。全員一致で拍手が起こった企画の著者をみんなで応援する、というスタイルです。

 

もう一つ大切なのは、社員を応援する、ということ。これは、著者を応援することよりも重要だと思っています。

昔は、夢の「大きさ」がすごく重要だと思っていたけれど、随分昔にアルバイトの学生に、「大きな夢でなくても、目の前のことを一生懸命やっている人、自分の夢を突き詰めている人は、応援しないんですか」と聞かれて、ハッとしたんですね。目の前のこと、自分の実現したいことを深くやっている人も、応援したい存在です。自分自身のことや世の中のことを深く知れば、広くなる。自分のやろうとしていることを深めていくと、結果的に広くなる。

いま英治出版では「大きく」よりも「深く」がキーワードです。

たくさん本が売れるのは、いいことと言えば、いいことですが、How manyよりもHow deepが大事。たくさん売ること以上に、著者としっかり関係をつくれることが、会社として重要です。そして、社員が自分の成し遂げたいことを深く探求できる場所でありたいと思っています。

 

英治出版とはどういう会社か、というテーマでしたが、英治出版は日々刻々と変化しています。英治出版は「みんな」によって作られていて。未来の1秒、1円は、僕らが想像力を加えることができるんです。

より良い未来を作り出していく想像力を加えてくれる人と、一緒に仕事をしようと思っています。みんなの想像力で、みんなの行動力で、それぞれにとって仲間と作る現実が理想を超えるような社会に近づいていければと願っています。英治出版はそのための一つの実験室でありたいと思います。

以上が、英治出版の創業からの、社員や著者の方との関係性についての思いです。ぜひ皆さんの想像力や行動力をお借しいただいて、皆さんの理想を超える現実を生み出していけたら、と思っています。

ご静聴ありがとうございました。

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