Archive for Publisher’s EYE

09.02.05

動き出す超巨大市場・・・「BOP」を狙え!

Posted in Publisher's EYE at 16:12:04 by takano

最近、欧米企業の一部のビジネスエリートの間で囁かれ始めた新たなキーワードがある。「BOP」、ボトム・オブ・ザ・ピラミッドの頭文字だ。所得階層ピラミッドの下辺(貧困層)を意味するこの言葉を、ある人は「世界史上、類を見ない大きなチャンスに恵まれた新興市場」と語る。貧困層が巨大市場に? そんな驚くべき見方には理論的根拠もあれば実例もある。先進各国で市場の成熟が叫ばれ、中国の発展にもバブルの暗雲が漂う今、より多くのチャンスを求める者たちは視点を大胆に転換し始めた。

世界40〜50億人の貧困層

世界には今、一日2ドル以下で生活する貧困層が40〜50億人いると言われている。これだけモノがあふれた現代日本にいると忘れがちだが、全世界の大半は、日本人とは比較にならないほど貧しい生活水準の中で生きているのである。

最近「ホワイトバンド運動」の盛り上がりに見られるように貧困問題に対する関心は国内でも徐々に高まっている。また、NGOによる支援活動も国際的に活発化しているようだ。ただ、そうした問題意識の高まりや支援活動は、これまでも度々見られたことである。

貧困問題は、NGOの支援活動や、財団や一般市民からの寄付、あるいは先進国政府の国際協力という文脈で捉えられることがほとんどだ。

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09.08.05

アフリカ携帯電話市場の急成長に見る「BOP」のインパクト

Posted in Publisher's EYE at 16:18:36 by takano

アフリカ各国で見られる携帯電話の急成長

アフリカで携帯電話が急速に普及している。今年3月、英ボーダフォンが発表した調査レポート「アフリカ:携帯電話のインパクト」によれば、現在、アフリカの携帯電話利用者数は8,200万人超。7月にナイジェリアで開催されたITUアフリカ地域準備会合でITU電気通信開発局が公表した報告書によれば、ここ5年間、アフリカの携帯電話市場は世界で最も高い成長を示している。

同報告書によれば、アフリカ全体を見たときの人口100人当たりの普及率は8.6%。これは固定電話の普及率の3倍の数値だ。中にはセーシェル(60.8%)、南アフリカ(43.4%)など、普及率が40%を超える国もある。

アフリカ各国で通信事業者が民営化され、膨大な額の民間資本が電気通信事業に投入されるようになったことが市場拡大を促した。国営事業者が携帯電話を運用しているのはアフリカ中で10カ国に満たず、民間の大手6社だけで全体の65%が抑えられているという。

先進諸国では、第2世代携帯電話の市場はほぼ飽和し、第3世代への移行には莫大なコストが要され、各事業者は一種の閉塞状況に陥っている。が、もともと通信インフラが乏しく、膨大な人口を抱えるアフリカは、成長を見込める魅力的な市場だ。ボーダフォン、サムスンはじめ各社が相次いで参入し、利益を上げている。

アフリカの人々は携帯電話をビジネス情報の収集や職探し、家族等とのコミュニケーションに活用しているようだ。黒人オーナーの企業では携帯電話が唯一の通信手段である例も多く見られており、携帯電話の需要は大きい。

「貧困層」の人々がなぜ利用できるのか

アフリカは人口の半数以上が1日2ドル以下で生活している貧困層。1台の価格が約100ドルの携帯電話は、言うまでもなく高額商品だ。それを広く販売するなど困難だというのが従来の見方だった。英ボーダフォンがテレコム・ケニアの子会社である携帯電話会社サファリコムの共同経営に乗り出したのは2000年だが、当時は同社の経営幹部でさえ、アフリカ携帯電話市場の成長を極めて低く見積もっていたという。が、現実は上記の通りだ。

その背景にはアフリカならではの要因がある。「コミュニティーでの共同利用」だ。ボーダフォンの上記レポートは、アフリカでは1台の携帯電話を複数のユーザーが共同利用する傾向があることを指摘している。ウガンダの携帯電話加入率は人口の4%だが、利用者数で見ると80%だ。

製品の共同利用は、コミュニティーを重んじるアフリカの伝統的な生活様式に根ざした行動だと言われる。地域の社会性や持ちつ持たれつの相互依存関係などが、携帯電話市場の成長に一役買っているというわけだ。

興味深いことに、電気インフラが存在しない地域でも、携帯電話が利用されている。そういう地域の人々は、発電機や自動車用のバッテリーを使って自ら携帯電話機を充電して使用しているのだ。ここにビジネスチャンスを見出し、充電サービスを行う事業者も現れている。また、自前の機器を持たない人のために、逐次「通話利用券」を購入するタイプのサービスもある。

BOP市場が動き出す?国内にも応用可能?

その国や地域の独自の属性に合致したアプローチを取り、低所得の人々にも利用可能な形に製品・サービスを小口化することができれば、貧困層??いわゆるボトム・オブ・ザ・ピラミッド(BOP)は大きな市場となる。

アフリカ携帯電話市場の状況は、今後世界最大の市場になると予測されるBOP市場の可能性を示すものと言えよう。ここで見られる製品の普及プロセスやサービス展開の事例には、BOP市場攻略のヒントが満載だ。海外市場の存在を不可欠とする日本の産業界にとって、BOP市場台頭の流れに乗り遅れないため注意が必要である。

また、低所得者層向けの製品・サービスには、所得階層の二極化や消費の二極化が見られる日本国内のビジネスにも応用可能な視点がありそうだ。案外、途上国から学ぶべきことは多々あるのではないか。成熟した日本の産業界に、「BOP」を、違った視点で見てもらいたい。

(参考)
朝日新聞2005年9月7日朝刊

http://www.jtec.or.jp/topic105.html

http://www.jtec.or.jp/topic121.html

http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20030115108.html

http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/03/10/003.html

『ネクスト・マーケット』 ウォートン経営戦略シリーズ C.K.プラハラード著/スカイライト コンサルティング訳 英治出版 2005.09

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