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「システム思考」や「やり抜く力(GRIT)」を育む「ワールドピースゲーム」の魅力とは。

こんにちは、プロデューサーの下田です。

世界の課題解決型シミュレーションゲーム「ワールドピースゲーム」in EIJI PRESS Lab、いよいよ3週間後(4月1日~5日)に迫ってまいりました! まだもう少し枠がありますが、参加をご検討中の方に向けて、このゲームに私が惹きつけられた理由をご紹介したいと思います。

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実は、私には子どもがいませんが、もし自分に子どもができたら「いつか参加してほしい!」と強く願っています。というのも、これからの社会で求められる力を育むのに最適なゲームではないか?と考えているからです。

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その力とは、物事の全体を見渡して俯瞰的に考える「システム思考」や、みんなで協力する「チームワーク」、また「やり抜く力」「好奇心」「自制心」といった非認知的スキルというものです。「非認知的スキル」については、最近ベストセラーになった『GRIT やり抜く力』や『学力の経済学』、英治出版から出した『成功する子 失敗する子』などに詳しく書かれているのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

では、なぜワールドピースゲームがこれらの力を育むのでしょうか? 私はこれまで2回見学しましたが、大きく5つのポイントがあると感じました。

  1. システム思考:大人もびっくりするほど複雑に絡み合った答えのない課題に向き合い、全体的な視点での解決策を探る。
  2. チームワーク:首相や財務大臣、国連から武器商人まで、どの役割も欠かせないもの! 「自分が世界平和のために何ができるか」を問われます
  3. 好奇心:環境問題、民族紛争、領土の奪い合い、テロ、クーデター、秘密国家など、リアリティあふれる世界観に子どもたちがのめり込む
  4. 自制心・やり抜く力失敗や予期せぬ事態にどう対処するか? つねに学び直しながら解決策を自分たちで見つけ出していく。
  5. 交渉力:ゲームのカギとなるのは「交渉」。いかにWin-Winの関係になれるかを探っていく。

 

1.システム思考:大人もびっくりするほど複雑に絡み合った答えのない課題に向き合い、全体的な視点での解決策を探る。

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ワールドピースゲームは40年以上にわたって改良が続けられています。あまりに簡単に終わってしまうと、「子どもたちが、答えがないような困難な課題に向き合う時間を大切にする」という意図からずれてしまうため、開発者のジョン・ハンター氏は課題や役割を見直して、ゲームをどんどん複雑なものにしていきました。

たとえば、ゲームで解決すべき課題は50以上ありますが、「あっちを解決すれば、こっちの問題が悪化する」というふうに、課題同士の利害がぶつかってトレードオフになっている場合が多々あります。つまり、対症療法的な解決策ではなく、「全体の視点で考えて、新しい解決策を見出す」必要があるのです。

これはまさに『学習する組織』でいう「システム思考」。子どもたちはゲームを通じて、自然とシステム思考の考え方を学んでいくでしょう。

ちなみに、複雑だからと言って事前に知識はいりません! 先ほども述べた、ゲームで大切にしている「答えがないような困難な課題に向き合う」時間が損なわれてしまうからだそうです。

 

2.チームワーク:首相や財務大臣、国連から武器商人まで、どの役割も欠かせないもの! 「自分が世界平和のために何ができるか」を問われます。

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ゲームの最少催行人数は25名。子どもたちは4つの国家の首相、財務大臣、防衛大臣、国連、武器商社などの役割を与えられます。さらに、「運命の女神」や秘密の「破壊工作員」といった、アクロバティックな役割もあります。

首相は交渉を担い、財務大臣は国家財政を管理し(計算を間違うと罰金も!)、防衛大臣は軍や武器を管理する。そして国連は各国の交渉を仲介し、武器商社は国家に武器を売り買いする。まさに現実世界と同じような役割が一人ひとりに与えられているのです。一人ひとりが役割を果たさないと、「課題をすべて解決する」「すべての国の資産を上げる」というミッションを達成できません。

見学中に強く印象に残ったのが、「武器商社」となった男の子の姿でした。実は、ゲームのはじめのうちは国と国との交渉がメインとなるため、誰とも話さずに会場を歩き回っているだけのように見えました。

外から見ていて「あの子はあまり参加できていないのでは」と心配になりましたが、後日伺った話によると、ご家庭に戻った時に「武器商社として世界平和にできることって何?」とご両親に尋ねていたそうです。「そんな哲学的なことを考えていたとは!」と本当に驚きました。

 

3.好奇心:環境問題、民族紛争、領土の奪い合い、テロ、クーデター、秘密国家など、リアリティあふれる世界観に子どもたちがのめり込む!

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ゲームの舞台は宇宙、空、陸、海を表す4層のタワー。その上に4つの国家の領土、軍隊、工場、資源などを表す人形やプラモデルが配置されています。これらはゲームの課題と密接にリンクし、紛争状態を示すバトルマークがあったり、オイルタンカーの原油流出を示す糸の輪っかがあったりします。

子どもたちは真剣にタワーを眺めながら、議論をしたり交渉したりしていました。「課題」を頭だけで考えて解決しようとするのではなく、五感を使いながらゲームの世界にのめり込む様子が伝わってきます。

課題も「二酸化炭素を減らすためには?」、「少数民族の反発を押さえながら紛争を収めるには?」といった、現実世界でも見聞きするようなことばかり。さらに、最初に用意された課題だけでなく、「A国でテロが勃発!工場を武装占拠した!」「秘密国家が核ミサイルを落とすことを宣言した!どうする?」など、進行に伴って次々と問題が発生します。

このリアリティが子どもの好奇心を刺激し、家に帰ってからも国際ニュースに関心が向くようになり、ゲームクリアのヒントを探そうと、国際関係や紛争問題について自分で調べるようになったお子さんもいるようです

 

4.自制心・やり抜く力:失敗や予期せぬ事態にどう対処するか? つねに学び直しながら解決策を自分たちで見つけ出していく。

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ゲームの最初のうちは、複雑すぎる課題の数々を理解するのに必死で、どの子もどう進めていいかわからずに圧倒されるそうです。そして、安易な解決策を出してしまうと別のところで問題を引き起こしたり、先ほども説明したように突発的な事件が起こって問題が複雑化したりします。

しかし、投げ出してしまいたい欲求を抑えて交渉や議論にじっくり取り組んでいくと、次第に全体が見えてくるようになりますつまり、自制心が求められるのです。そうすると一つずつ課題を解決していくことができるので、「協力すればできるかも…」という意識が芽生え、途中から解決スピードがぐんと上がることもあります。

「一見無理に思えた課題でも、何とかやり切った」という達成感が、子どもたちの「やり抜く力(GRIT)」につながるのではないでしょうか。

 

5.交渉力:ゲームのカギとなるのは「交渉」。いかにWin-Winの関係になれるかを探っていく。

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ゲームは「交渉」と「宣言」の時間が繰り返されながら進んでいきます。

「交渉」時間では、子どもたちは各国と課題を解決するための交渉を行い、契約書や請求書・領収書など、国際社会に認められるための必要な書類を揃えなければいけません。

「宣言」では、各国首脳がみんなの前に立ち、どの国とどんな取り決めを行ったのか、またどういうふうに軍隊を動かすかということを全体に発表します。ファシリテーターは関連する国や組織に「この決まりについて把握していますか?」と細かく確認していくので、きちんとした書類を見せる必要があるのです。

交渉を通じて、「原油流出の賠償額」「軍隊撤退の費用」について、どちらの国がどれくらいのお金を出すのかをきちんと決めておく必要があります。最終的にすべての国の資産を増やさなければいけない(自分だけの国が増えていればいいわけではない)ので、豊かな国だからといって気前よくお金を出すわけにはいきませんし、「交渉に勝つ」ことにこだわってばかりもいられません。

自分たちの要求をどこまで通しつつ、どこまでであれば譲歩できるのか、といった見極める力と交渉力が求められるのです。

 

 

いかがでしたか? 長々と書いてしまいましたが、実際にゲームを目の当たりにすると、もっともっといろんなことを感じます。5日間という短期間ながら頭をフル回転させる濃密な時間、ゲーム後に大きく変わったお子さんの姿に驚かれる親御さんが多いのも納得です。

チャレンジ精神と好奇心あふれるお子様のご参加をお待ちしております!

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英治出版オリジナルブックフェアを開催中。フェア対象書籍をご購入いただいた方(先着10名)に、「しあわせを運ぶ てんとう虫チョコ」をプレゼント!

みなさんご存じのように、書店ではよくブックフェアが開催されます。店員さんが企画したフェア、作家や著名人が選書したフェア。見かけるとつい足をとめる人も多いのでは? そんなブックフェアの魅力のひとつは、思いがけない本との出会い、いわばセレンディピティ(幸運な偶然)が起こることかもしれません。

 

英治出版もしばしば書店のブックフェアに関わっています。ソーシャルデザイン関連書フェア、春のフレッシャーズ向けのフェア、国際ガールズ・デー(10月11日)にちなんだフェア。ただ、「書店以外」でのフェアはあまりしてきませんでした。英治出版にはイベントスペースEIJI PRESS Labがあり、壁一面の大きな本棚があるのに。

 

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↑毎春、ブックファースト新宿店さんで開催している
フレッシャーズ向けブックフェア

 

そこで、毎月テーマを決めて、EIJI PRESS Labと英治出版オンラインストアで英治出版オリジナルブックフェアを開催することにしました。最近の新刊も過去に出版した本もごちゃまぜに選書。予想外の発見(セレンディピティ)があるかも?

 

2月といえば、バレンタインデー。筆者が毎年思い出すのは、小学生のころに手作りしたチョコレートのこと。担任の先生にあげるつもりでつくりました。プレゼントだから、きれいな包装紙に包んで渡す。そんな発想があってもよかったはず。ですが私は、アルミホイルに包んだチョコレートをプレゼントしてしまいました・・・。

 

余談はさておき、今月は『チョコレートの真実』を起点に、全部で6冊を選びました。

チョコレートの真実

フェアトレードのおかしな真実
――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』

Because I am a Girl
――わたしは女の子だから』

ハーフ・ザ・スカイ
――彼女たちが世界の希望に変わるまで』

ブルー・セーター
――引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語』

世界で生きる力
――自分を本当にグローバル化する4つのステップ』

Labのフェア用本棚もできあがっています。
Labにお越しの際は、ぜひ覗いてみてください。

英治出版オンラインストアのページはこちらです。

 

 

また、このブログではフェア対象書籍を1冊ずつ紹介していきます。
今回は『チョコレートの真実』です。

 

『チョコレートの真実』

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甘いチョコレートの裏側に隠された、カカオをめぐる過酷な児童労働の苦い真実にせまるノンフィクション。

カカオ農園で働く子供たちは、チョコレートを知らない

世界最大のカカオ豆の輸出国、コートジボワール。密林奥深くの村を訪れたカナダ人ジャーナリストのキャロル・オフは、カカオ農園で働く子供たちに出会う。子供たちは自分たちが育てた豆から何が作られるのかを知らない。自分に課された過酷な労働が、先進国の人々が愛するお菓子であることも、チョコレートが何なのかさえも。

 

苦いチョコレートの歴史を紹介したブログ記事も、
ぜひご覧ください。
社内でもかなりの読書家であるスタッフが書きました。http://www.eijipress.co.jp/blog/2017/02/02/20534/

 

チョコレートの裏側に隠された児童労働のような、目には見えないことが他にもたくさんあると思います。野菜は、誰かが育て、収穫し、お店に運んでくれています。お肉も、他のいろんな商品も同じです。当たり前にそこに並んでいるように見えるモノの背景には、いろんな情報やストーリーがあることを思わされます。

 

見えない現実を覗くこと、
見えないけど想像し得るストーリーを描くこと。
ひとりひとりがはじめられる1歩かもしれません。

 

世界の子どもを児童労働から守る活動をしている、認定NPO法人ACE。彼らは「しあわせへのチョコレートプロジェクト」をおこなっています。チョコレートを食べる人と作る人、みんなが一緒にしあわせになれるように、児童労働のないチョコレートが当たり前に手に入る社会の実現を目指している活動です。プロジェクトで生まれた「しあわせを運ぶ てんとう虫チョコ」は、売上の一部がガーナのカカオ生産地の子どもたちを支援する寄付にもなるそう。てんとう虫チョコを購入してプレゼントする。ACE制作の映画『バレンタイン一揆』を観る。それぞれがしたい、できる方法で応援できるといいですよね。

 

 

また、英治出版オンラインストアで今月のフェア対象書籍をご購入いただいた方(先着10名)に、書籍と一緒にてんとう虫チョコをお送りします。この機会が見えない現実を覗く、見えないけど想像し得るストーリーを描くきっかけになれば嬉しいです。

 

次回は「フェアトレード」の内側を伝える本をご紹介します。

定価の23 – 38% OFF! 期間・冊数限定でアウトレット本を特別価格で販売します。

本が読み手のみなさんに渡るまでには、いろいろなところを経由します。英治出版の倉庫から、取次会社に納品し、そこから全国の書店へ。店頭で手に取っていただけると嬉しいですが、中には売れずに返品になるものも。

 

このように、流通過程で本はあっちにいったり、こっちにいったりするので、必ず一定数の「不良本」が出てしまいます。傷が付いたり、折れたり、汚れたり。なかなか気づかないほどの傷だったり、汚れだったりするので、中古本と思えばきれいな方と思えるものもあるけど、新品と同じように売りものにするにはちょっと気が引けてしまいます。だから、そういうものは断裁・廃棄処分になってしまう。なんとも、もったいないことです。フードロスの問題が世界的に取り上げられていますが、私たちの場合はブックロスです。

 

それで、期間・冊数限定でアウトレット本として割引セールを実施することにしました。倉庫会社の方に傷んでしまっている本を調べてもらい、なかでもロングセラーの本をアウトレット本として選びました。カッコ内は用意した冊数です。定価の23~38%OFFでご購入いただけます。

 

Because I am a Girl(23) 1,000円  *定価:1,728円

問題解決(23) 1,700円 *定価:2,376円

ロジカル・プレゼンテーション(10) 1,300円 *定価:1,944円

信念に生きる(10) 1,400円 *定価:2,052円

リアル公務員(9) 900円 *定価:1,404円

ネクスト・マーケット[増補改訂版](7) 2,400円 *定価:3,456円

決断の本質(4) 1,400円 *定価:2,052円

なぜ人と組織は変われないのか(5) 1,900円 *定価:2,700円

 

たとえば、『なぜ人と組織は変われないのか』のアウトレット本の場合だと、こんな傷や汚れがついてしまっています。

 

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ほかの本だとこんな感じです。

 

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でも中はどれも綺麗です。

 

アウトレット本を発売しようと企画した当初は、オンラインストアのみで実施するつもりでしたが、英治出版にはEIJI PRESS Labというスペースがあるので、そこでも販売しようということになりました。

 

本日は国際ガールズ・デーということもあり、Labでの販売は『Because I am a Girl』を中心に売り場をつくってみました。(もちろん、『Because I am a Girl』 以外のアウトレット本もご購入いただけます。)

 

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●オンラインストアでのご購入について

下記URLにアクセスのうえ、お好きな本をお選びください。http://eijipress.ocnk.net/product-group/1

 

●EIJI PRESS Labでのご購入について

・販売期間は、土日を除く2016年10月11日(火)~31日(月)です。

・平日10:00-17:00のあいだでお待ちしております。

・EIJI PRESS Labはビルの5Fにありますが、お越しの際は、まずビルの4Fにある英治出版オフィスの受付にいらしてください。受付電話でアウトレット本を見に来た旨をお申し付けください。

・英治出版の場所 http://www.eijipress.co.jp/about/access.php

・迷われる方が結構いらっしゃいます。迷われたときは03-5773-0193までお電話ください。

 

どうぞ、この機会に読んでいただければ嬉しいです!売り切れになってしまう場合もあるかもしれませんので、おはやめのお求めをおすすめします!

Google発・世界のビジネスリーダーが実践するマインドフルネスプログラム『サーチ・インサイド・ユアセルフ』体験セミナーを開催します!

今年6月に放送されて反響を呼んだNHKスペシャル「シリーズ キラーストレス」
ご覧になられた方も多いかと思います。
ストレスを原因とする心や体の病は近年急増していて、場合によってはそれが命を奪うこともあると言われています。

そんなストレスへの対策にもなり、さらには仕事のパフォーマンスを上げるものとして今注目されているのが「マインドフルネス」です。

瞑想や呼吸法なども取り入れたこの「こころのエクササイズ」は、グーグル、フェイスブック、インテル、マッキンゼーなどの有名企業、さらには教育機関・政府機関での研修や、医療現場での療法としても使われています。

 

今年5月に英治出版から発売した『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』は、マインドフルネスを取り入れてグーグルが開発した大人気研修「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」の全貌を、本プログラムの開発者であるチャディー・メン・タン氏が記した一冊です。
おかげさまで4刷・2万2000部となり、多くの読者様にご愛読いただいています。

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このたび、本書の監訳メンバーである荻野淳也さんを講師としてお招きして、実際にこのSIYプログラムを体験できるセミナーを、EIJI PRESS Lab(恵比寿)にて開催いたします。

「基礎編」と「応用編」の全二回となりますが、どちらか片方だけのご参加でも安心な内容となっております。

 

 

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<10/3(月)19:00-21:00>
【基礎編】 「サーチ・インサイド・ユアセルフ」を体験しよう

http://peatix.com/event/197816

<10/5(水)19:00-21:00>
【応用編】 マインドフルネスを自分のワークスタイルに活かそう
http://peatix.com/event/197825/

<講師プロフィール>
荻野淳也(おぎの・じゅんや)
外 資系コンサルタントやベンチャー企業のIPO担当や取締役を経て、現在は、リーダーシップ開発、組織開発の分野で、東証一部上場企業からベンチャー企業ま でを対象にしたコンサルティング、トレーニング、エグゼクティブコーチングを事業としている。特定非営利活動法人いい会社をふやしましょう・共同発起人、 奨学金付きスピーチコンテスト「カナエール」・副実行委員長。近著『世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方』(日本能率協会マネジメントセンター 刊、共著)

 

セミナーの詳細は、リンク先のイベントページにてご覧ください。
たくさんのご応募、お待ちしております!

『僕らはソマリアギャングと夢を語る』がつくられた経緯とは? 「編集者と語り合う夕べ」の第1回が開催されました!

先週6日(水)に開催されたイベント「編集者と語り合う夕べ」。その記念すべき第1回のゲストとして、『僕らはソマリアギャングと夢を語る』の編集を担当した英治出版の下田を招いて、開催していただきました。

 

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イベントの主催と進行は、「本が好き!」の和氣正幸さん。和氣さんは、「本が好き!」の運営のほかに、全国・世界各地のユニークな本屋さんのところへ取材に出かけて記事を書いて、ご自身で運営されているBOOKSHOP LOVERというメディアで紹介する活動などもされています。

 

打ち合わせの段階から、「編集者の思いを読者に伝えたいんです!」と強い思いを明かしてくださった和氣さん。参加者のみなさんは全員で8名。全員で円になって座り、和氣さんが聞き手、下田が話し手としてはじまり、徐々に全体でざっくばらんにお話する時間となりました。

 

今回のブログは、イベントでどんな話が繰り広げられたのか、その一部をご紹介します。まずは、みなさんの参加動機を教えていただきました。

 

・わたしも編集者をしていて、なにかブレイクスルーになるきっかけがあるといいなぁと思い参加しました。

・いつもメディアで接するソマリアの情報とは違うものがあるのだろうと思って、それが気になってやってきました。

・会社で人事を担当しています。本屋で、この本がいろんな棚に置いてあって不思議だなぁと思っていたので、書籍がついているチケットを買ってやってきました。

・えほんの翻訳をしています。『僕らはソマリアギャングと夢を語る』は仕事で関わる本のジャンルと違うのですが、読む側としてはいろいろ読むので、本づくりを知りたいと思って参加しました。

・永井さんがどういう方か気になったので、参加しました。

 

など、様々な参加動機でみなさんにお集まりいただきました。

 

下田 : 今日はお集まりいただき、ありがとうございます。僕は、英治出版にきてもうすぐ6年です。大学を出てからは、ITコンサル企業に3年くらいいました。その後は、友人に誘われて1年ほど起業準備をしていたのですが、あまり上手くいかず。それから、英治出版とご縁があって入社しました。もともと、国際協力や紛争に関心があって、出版に興味があったというよりは、英治出版が自分の関心のあるジャンルの本を多く出していたのと、自分のこれまでの経験が重なって、英治出版に参画することになりました。国際協力や紛争のほかには、組織開発や教育分野の本を手掛けています。今日は、本についていろんなご意見を伺えればうれしいですし、出版関係の方もいらっしゃるとのことで、いろいろ勉強させてもらえたらいいなぁと思っています。よろしくお願いします。

 

和氣さん : ではさっそく、質問をしていきたいと思います。『僕らはソマリアギャングと夢を語る』の著者、永井陽右さんとの出会いはどういうきっかけだったのですか?

 

下田 : ある日突然メールがきました。笑 英治出版の問い合わせフォームがあるのですが、そこにメールを送ってくださいました。永井さん自身は、もともと本を書いたらどう? ということを周囲の方に言われたことがきっかけだったそうです。それで、企画をまとめて、英治出版を見つけてくれてメールをくださいました。

 

――永井さんが英治出版に企画を持ち込んでいただいたことがきっかけで、本書はできました。英治出版では、問い合わせフォームからいただいた企画は、全社員に共有されるようになっています。そのなかで、永井さんの企画を見た下田が彼の活動内容を調べていくうちに「おもしろそうだ!」と思い、永井さんに会うことになりました。

 

和氣さん : 会ったときの第一印象はどうでしたか?

 

下田 : 背が高い。笑 僕も185cmあるので結構背が高い方なのですが、僕より高いです。あとは、やっぱり会う前にいろいろ調べますよね、いろんな記事とか寄稿文とかをネットで見つけて。で、それらはめちゃくちゃ堅い文章なんですよね。笑 だから、どんな方なんだろうと思っていたんですけど、背が高くて親しみやすい方だったので、第一印象で持っていたイメージは崩れました。

 

和氣さん : noteで永井さんが連載しているブログは、親しみやすい、くだけた文章という印象がありました。

 

下田 : そうですね、おそらくご本人もくだけた感じを意識してブログは書かれてはいると思うのですが、とにかくはじめてお会いしたときに堅いイメージは崩れました。で、そこから一緒に企画を練っていきました。あらためて、どうして出版したいのですかとか、なぜ今出版なのかという話をしていきました。

 

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――つづいて、和氣さんが参加者のみなさんに質問を投げかけました。

 

和氣さん : 本を読まれて、あるいはネットの記事などを読んで、永井さんはどんな方だと想像しましたか?

 

参加者Aさん : 回答になっていないかもしれませんが、不思議に思ったのは、タクシードライバーが行くなと言うような、危険なところにどうして行っちゃうんだろうと思いました。

 

下田 : 割と考えなしのところは結構あるとは思います。笑 だけど、最低限の担保はとっていると思います。いつも、仲良くなった人や現地のソマリア人メンバーと一緒だったり。

 

――本書のはじめに、永井さんがナイロビを訪れたときのシーンが出てきます。彼の宿泊先には食料がなかったので、スーパーに行きたかった永井さん。しかし、治安が悪いナイロビの街を一人で出歩くには危険だと思った彼は、宿を出たところの向かいの通りに、こちらを見ていたポールという男性(タクシードライバー)に「一緒にスーパーへ行って欲しい」といきなり声をかけます。

 

和氣さん : にしても、いきなり声をかけるというのはすごいですよね。笑

 

下田 : 僕も大学のとき、1年休学してバックパックで旅をしたんですけど、だいたい「におい」でわかるかなぁと。笑 なんというか、大丈夫そうだ! というにおい。あと、彼なりのロジックもあったのだと思います。客引きとかがたくさんいて、彼らのような「向こうからくる人」についていくのは危ない、と。だけど、ポールはのほほんと立っていたんだそう。笑 相手も人間ですからいきなり話しかけられたら、こわいですよね。それでも、関係性を築くことができたのが永井さんとポールだと思います。(後にポールは、タクシードライバーとして永井さんをスラム街などいろんなところへ連れて行ってくれる)

 

和氣さん : 永井さんがルワンダのジェノサイド記念館に行かれたとき、「もやもやした感覚をいだいていた」とあります。この部分を読んで「素直さ」がある人だと感じたのですが、実際に永井さんと話しているなかでもそう思いましたか?

 

――永井さんが高校生のときに世界史の教科書で知った、ルワンダのジェノサイド。そのときから大学生になったらルワンダに行って、現地がどうなっているのかを知りたいと思っていた永井さん。大学生になって訪れたルワンダは、表立った殺し合いや対立は起きておらず、「アフリカのシンガポール」と呼ばれるほど成長を遂げている国になっているのを目の当たりにして(もちろん、ジェノサイドが残した問題がすべて解決されたわけではない)、もやもやした感覚を抱いている頃に、ジェノサイド記念館を訪れていました。そのもやもやは、「自分は最も耐え難い痛みを受けている人たち、いま危機が迫っている人たちを救いたい」と思っていたからだと本書には書かれています。

 

下田 : まっすぐさはありますよね。ピュアすぎるというくらい。目的をこれって決めたら、それ以外の雑音が見えなくなる方。危ないからやめようとかじゃなくて、そこにニーズがあるならそこの問題を知りたいし、自分ができることがあるならやる、と考える方ですね。

 

和氣さん : これまでお話を伺っていて、素直なところと理論的なところの両方をお持ちの方だと思いましたが、本をつくるにあたって、彼の素直な部分を出していこうとされたのはどうしてですか?

 

下田 : それは、この本を誰に読んでもらいたいかということですね。たとえば、国際協力の実践者にするのか、若い人をターゲットにするのかで違ってきます。最初は、国際協力に関心のある若い人にしようと考えました。ただそれだと、いろいろと突っ込みどころが出てくるなぁと。どういうことかというと、これは永井さん自身も認識していることなんですが、日本ソマリア青年機構の活動だけでソマリアの問題を解決できているわけではないです。だけど、将来テロリストになるかもしれない若者を更生させているという点では、確実な変化を起こしています。

学生主体の、新しいアプローチを見出したという点で、彼の活動はとても価値のあることだと思ったので「何かをやりたいと思っている若い人」に読んでもらいたいと思いました。「国際協力論」じゃなくて、彼のストーリーを紐解いていくとそれがとてもおもしろく、いろんな壁にぶつかりながら乗り越えていくプロセスを共有しようと思ったのです。

 

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和氣さん : 装幀で気になることがあるとおっしゃっていた方がおられますが、どういう点で気になりましたか?

 

参加者Bさん : そうですね、シンプルすぎるような、まだビジネス書っぽいというか・・・。

 

参加者Cさん : 帯の写真はどうしてカラーじゃないんですか?

 

和氣さん : 本の装丁は、まずはデザイナーさんから複数案をいただいてから、練り上げていくんですよね。

 

下田 : そうですね。結論から言えば、永井さんのイメージに合ったのがこの装幀でした。青はソマリアの色で、日本ソマリア青年機構も青をメインカラーにしています。写真を押し出さなかったのも、タイトルを打ち出したいという永井さんと僕の意図によります。

社内でタイトルを決めるときに、「このタイトルで内容が伝わるか」などいろんな意見がありました。でも、永井さんはすごく気に入ってくださったんです。それを大事にしようと。著者と一緒に本を長く世に届けるためにも、著者が気持ちよく「これが自分の本です」といえる形にするのが、結果としていいと思っています。

英治出版は「絶版にしない出版社」を掲げています。「著者を応援する」が経営理念としてあるので、すぐに絶版になるとその人の応援にならないという意図があり、絶版にしないと言っています。本は形にして世に出すので、「あの本を出した人」として残っていきます。だから、絶版になっていたら悲しいですよね。絶版にしないためにも応援が必要で、お互いに応援しあう関係というのが一番大切だと思っています。

 

参加者Dさん : 若い人がこの本でインスパイアされるといいですね。

 

下田 : はい。永井さんも言っている「学生だからあきらめるんじゃなくて、学生だからできることがある」を突き詰めて考えていくと、ちがうアイデアやアプローチにたどり着くのではないかと思います。

 

 

イベントで話された一部をご紹介してきましたが、こうして、本づくりについて読者の方から意見を伺う機会は普段ははかなかないことなので、話し手の下田にとって、とても新鮮で気づきがある機会だったようです。

 

今回は第1回の「編集者と語り合う夕べ」でしたが、今後もほかの書籍を用いて開催される予定ですので、ご関心のある方はぜひご参加いただければと思います。

 

あらためまして、このような機会をつくっていただいた和氣さん、そして今回参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました!

 

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『僕らはソマリアギャングと夢を語る――「テロリストではない未来」をつくる挑戦』

9784862762221