カテゴリー別アーカイブ: EIJI PRESS Lab

PASS THE BOOKについて、ご紹介します。

皆さん、こんにちは。今回のブログでは、これまでに何度か開催しているイベント「PASS THE BOOK」について、ご紹介したいと思います。筆者は、このイベントを企画・運営している英治出版の山見です。

PASS THE BOOKでは、毎回ゲストをお招きして、その方の座右の書をお持ちいただき、ご紹介してもらいます。その本のなにが好きなのか、その本からどんな影響を受けたのかなど、本への想いやその本にまつわるエピソードをお話してもらいながら、ゲストの人生に触れ、彼らの人生を感じるイベントです。ゲストのトーク、会場全体でのダイアログのあと、座右の書が参加者のおひとりにパス(プレゼント)されます。

実はこのイベント、はじめたきっかけは、greenz.jpの元編集長YOSHさんの「引っ越し」でした。

「もう読むことはないとわかっていても、大切にしていた本は捨てたり古本屋に持っていくのはとても偲びない。本への想いとともに、顔の見える誰かに渡すことができたら……。」そんなYOSHさんの想いに英治出版がコラボレーションする形ではじまりました。

毎回、1冊の本をつうじて見えてくる、ゲストの方の生き方や考え方から学びや気づきがあります。ただ、イベントでの学び・気づきは、必ずしも明日からすぐに役立つものではないかもしれません。どちらかと言えば、イベントの後日、じわりじわりと心に響くことが多いように思います。

例えば、マラリア・ノーモア・ジャパンの水野達男さんがゲストで来ていただいたときのこと。ビジネスマンとして必要なロジカルシンキングはすべてこの本から学んだ、と『企業参謀』(講談社文庫)をお持ちいただきました。仕事をするなかで、その内容をどんどん自分のものにしていかれた水野さん。けれど、その延長線上でのアフリカ赴任をきっかけに、体調を崩され「ロジックだけではダメなんだと気がついた」と水野さんは言います。それからは、ご自身のなかにあるセンサーによる反応、つまり直感を大切にしていることをお話してくださいました。いまは、ロジカルさも直感もうまく扱っているんだそうです。

このように、本の紹介にとどまらず、その本と生きてきたことで起こったことや発見を知ることができるのがおもしろいところです。

私にはこの話が印象的で、その日以降、これってセンサー反応してるやつかな? とか、ちょっと違うやつかな? など、直感について自分と対話をするようになりました。いまだに、どれが直感なのか、わからないときもありますが、たぶんこのプロセスを続けていくことに意味があるんじゃないか、水野さんもそんな感じだったのかなとじわりじわりと影響を受けているのを実感しています。

もちろん、ゲストの話を聴いての学び・気づきはそれぞれに違って、参加者の皆さんとのダイアログのなかで新たに気づくこともたくさんあります。

次回のPASS THE BOOKは明日、6月14日におこないます。ゲストにおこしいただくのは、世界を旅するノンフィクション作家の寺井暁子さん。

務めていた会社を辞め、世界中に散らばった同級生たちに会いにいった旅を綴った『10年後、ともに会いに』(クルミド出版)。そのあとの旅をつうじて書いた『草原からの手紙』(クルミド出版)。そして、現在執筆中の寺井さんがナイル川沿いのミュージシャンたちの旅を追った最新作『ナイル・ナイル・ナイル(仮題)』。どの作品も、彼女がなにかに突き動かされてでた旅がベースになっています。

ただ「突き動かされるもの」を信じて旅にでる一方で、やはり本当にこれでよかったのかな……と考えてしまうのも寺井さん。そんなふうに微妙に揺れ動きつづける寺井さんに「旅のかたちを示してくれた1冊」を今回ご紹介いただきます。

寺井さんのように、旅にでようかな、でもなぁ……という狭間にいる方、旅でなくとも、この選択をしてよかったのか? 本当にこれでよかったのか? と揺れ動いている方など、なにか次の方向性を見つけたり、一歩踏み出すヒントになるかもしれません。

個人的には、「突き動かされるもの」と「直感」は似ているような気もしていて、寺井さんがそれだとわかるとき、どんな感覚なのか興味があります。また、突き動かされるものや直感と理性の揺れとどうやって付き合われているのかを寺井さんに聞いてみたいと思っています。

当日は、寺井さんを囲んでお話を聴いたり、自由に質問したり、それぞれの楽しみ方で時間を過ごしてくださればと思います。ご参加希望の方はお申込みのうえ、当日会場へおこしください。お待ちしています。

▼次回PASS THE BOOK概要
・日時 2017年6月14日(水)19:00-21:30 ※開場18:45
・場所 EIJI PRESS Lab
・費用 2,000円
・申込 http://passthebook1706.peatix.com

第18期 英治出版株主総会をおこないました。

先日、第18期 英治出版株主総会をおこないました。

今年もこの日のEIJI PRESS Labは、ミュージアム風に。昨年度に発行した20タイトルとその著者や監訳者などの皆さんの写真、日々の出来事やイベント、本のランキングなどを展示しました。

 

英治出版の累計発行タイトルは308に。
社会変革や経済開発、組織開発、働き方、育児などに関するタイトルを刊行し、さまざまなフィールドでご活躍される皆さんとお仕事ができました。

書店さんと一緒に、いろんなブックフェアも開催しました。刊行したタイトルに関するイベントも各地で実施。オンラインでもいろいろな記事で著者の方や本を紹介していただきました。

 

著者の方が、英治出版に遊びに来てくださいました。
高校生のインターンも来てくれました。
インターン生の受け入れは2年目で、今回の生徒は、1年目に来ていただいた生徒のお話を聴いて英治出版でのインターンを希望してくれたようです。


インターンを終えての発表をしているときの様子

 

3名が英治出版を卒業し、それぞれの道に進みました。
卒業生は総勢96名に。
英治出版には、卒業生全員に毎年バースデーカードを送る文化がありますが、だんだん大変になってきています。笑
そして、新たに5名の仲間が加わりました。

約10年間、英治出版の営業を引っ張ってきてくれた
仲間とのお別れもありました。

 

株主総会後には、毎年恒例行事となりつつある5月生まれの誕生日会。

英治出版には、5月生まれが3名います。
今年、それぞれにプレゼントしたのは、
「自分では気づいていないかもしれない、あなたの能力」。

UXの時代』著者で、シーオス代表の松島聡さんが、イベントで、とあるエピソードを紹介されていました。

そのエピソードとは、シーオスにいる日本刀が大好きな社員のお話でした。日本刀のコレクションはお金のかかる趣味。その社員の方は日本刀を研ぐ能力を活かして、ほかの社員の包丁を研ぐというサービスを社内で始めたそうです。日本刀好きとあって、研ぐのが上手。評判になり、そのサービスで日本刀にかかる費用を稼いだという話でした。

英治出版スタッフにも自分では気がついていない、秘められた能力があるのでは? それに気がついたり、どこかで活かしてもらうきっかけになったらいいな、との思いでお祝い企画をおこないました。

小料理屋をやりたいと言っている鈴木。ひょっとして、「利きだし」能力がすごいのでは? 夏目漱石が好きな平野。「どの文章が漱石かわかる」能力があるのでは? 競馬も好きな平野。もしかして、「競馬」名人? トライアスリートの原田。「肺活量すごい」能力があるのでは?

それぞれ、ゲームにチャレンジしてもらいました。

いつかどこかで、今回発見した能力を活かしてもらえるかもしれません。

1999年6月に創業の英治出版は、今月で19年目を迎えます。
20周年も目の前です。
これからも目の前のひとりを大切に、
「応援」「夢」「幸せ」をキーワードに
毎日を過ごしていきたいと思います。

4/19(水)に「PASS THE BOOK」を開催します。 ゲストはNPO法人マラリア・ノーモア・ジャパン 水野達男さん。

4/19(水)に開催するPASS THE BOOKに、『人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。』著者で、NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパンの水野達男さんをゲストに迎えます。


PASS THE BOOK は、各界でご活躍の方をゲストにお招きし、さまざまなテーマでお持ちの本の中から「受け渡したい1冊」を用意してもらい、参加者のひとりに「贈る(=Pass)」イベントです。ゲストにその本を選んだ背景や本への想いなどを語ってもらいながら、参加者の皆さんと対話を通じて交流を深めていただきます。その後、参加者は対話を通じて得た気づきや学びをメッセージカードに記入し、そのなかのおひとりに本を贈呈します。

1冊の本をとおして、ゲストと参加者がお互いを深く知り、それぞれにとっての気づきや学びを得る。そんな場になればと思っています。

今回のテーマは、「海外でのビジネスにおいて、背中を押してくれた1冊」。水野さんがどの本を用意していただくかは、イベント当日まで秘密です。イベントの詳細・申込は下記リンクにお進みください。


 

今回のブログは、ひとりの読者として、英治出版の山見が水野さんの著書で印象に残ったところや、PASS THE BOOKで伺ってみたいことを書きました。

 

水野達男さんについて

▲水野さん著書
『人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。』

米外資系企業勤務を経て、住友化学株式会社に入社された水野さん。2007年より、アフリカのタンザニアでマラリア予防蚊帳「オリセットネット」(住友化学の技術者が開発した、アフリカの環境でも長く効果が継続する防虫蚊帳)を製造・販売するジョイントベンチャーの日本側リーダーとして事業を軌道に乗せたあと、2012年にNPOに転身されました。

マラリア予防の蚊帳事業は、ビジネスの手法で途上国の貧困層の問題解決を目指す「BOPビジネス」の先駆事例として注目されましたが、その裏には、数々の苦労と失敗がありました。その経験が水野さんの人生観を変え、「マラリアで苦しむ人を1人でも減らす」という想いから、現在の活動をされています。

 

52歳のある日、アフリカが目の前に振ってきた…!そして、いつしかアフリカが大好きに。

実は、水野さんがアフリカと関わりはじめたのは、52歳のとき。予想もしていない、本当に突然のことでした。それ以降も、苦労や失敗がたくさんあったのに、「僕はアフリカやアフリカの人たちが大好きになっていった」と水野さんは言います。ある日突然、アフリカが目の前に振ってきてから、水野さんがアフリカにどっぷりはまっていく変遷が語られているのですが、何事もポジティブにとらえようとする姿には、水野さんがお持ちの哲学が表れているなと感じます。

“直感や流れに身を任せてもいいこと、
時には心地よい場所から出ること。”

“自分が大事にしている価値観に従うこと。”

“人生は選択の連続だ。自分の意志と責任で選び、
結果も引き受ける。それが成長につながる。”

私はこれらの言葉に大変共感したのですが、流れに身を任せ、時に心地よい場所から出ることは、勇気や不安が伴う場合もあるのかなと思いました。その場合、どうやって勇気や不安と向き合われたのか伺いたいと思いました。

 

携帯電話は持っているが、移動は徒歩、水汲みにはロバを連れるマサイ族。日本や欧米とは発展のプロセスやスピード感がかなり異なるアフリカ。

水野さんの経験から、興味が湧いてくるのが「アフリカ」という地域についてです。水野さんがはじめてアフリカと関わるようになった2007年、マサイ族の人は携帯電話を使っているにもかかわらず、移動は徒歩、水汲みに行く際はロバを連れていたそう。それが2013年頃になると、移動はバイク、水道はまだ通っていないので、水汲みはポリタンクを利用するという様子。日本や欧米とは発展のプロセスやスピード感がかなり違うことがわかります。

他にも、タンザニア工場の従業員が給料日の翌日から出勤しなくなったというエピソードがあるのですが、彼らには「働くモード」と「お金を使うモード」があるそうです。アフリカって実際どんなところなんだろう、どんな人たちがいるんだろう、そう思わずにはいられなくなりました。

 

生粋のマーケター、現地のスーパーマーケットに挑戦。

事業がはじまってからのしばらくは、国際機関からの資金を元に現地の保健省やNGOなどがオリセットネットを購入し、無償配布するか安価で提供するケースがほとんどだったそうです。そこで、マーケターとしてのキャリアを長く積まれてきた水野さんが挑戦したのが、現地の人のお財布から直接、オリセットネットを買ってもらうこと。ケニアのスーパーマーケットにオリセットネットを並べて行われたこのチャレンジは、なんと1年後には、現地でのトップシェア20%達成したというので、驚きです。どのようなステップでこの結果を得られたのか、工夫した点などを伺いたいと思いました。

 

「折り鶴」で品質管理を改善!

折り鶴と品質管理。一見、両者がどう関係しているのか、不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。水野さんは、日本人とタンザニアの工場で働く人たちが持つ「品質」の考え方があきらかに異なっていたことがわかったとき、折り鶴を用いて、各工程の責任者に対し、品質管理の研修を行いました。紙の端と端をきれいにそろえてから折る。その積み重ねで、ようやく美しい折り鶴が完成する。品質管理も同じことだよ、と。日本人にとって、馴染みのある折り鶴ですが、現地工場で働く従業員にとっては、驚くべき発見だったそうです。

品質管理の大切さへの理解を深めてもらうために、折り鶴を活用されたのは、名案だ…!と思いました。他にも、現地の方と協働するうえで活用されたアイデアなどがあれば、ぜひお聞きしたいと思いました。

 

水野さんをお招きしてのPASS THE BOOKは、4月19日(水)19:00開催です。「アフリカ」や「ビジネス」「キャリア」など、さまざまなトピックで水野さんとお話ができる機会ですので、ぜひいらしてください。

 

 

▼『人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。』の内容に関連する書籍

『アフリカ 希望の大陸』

『BoPビジネス3.0』

『未来をつくる資本主義[増補改訂版]』
(住友化学の専務も推薦!)

『世界とつながるビジネス』

『日本人が海外で最高の仕事をする方法』

『異文化理解力』

※イベントにご参加の方は、英治出版の本が割引価格でご購入いただけます。

「システム思考」や「やり抜く力(GRIT)」を育む「ワールドピースゲーム」の魅力とは。

こんにちは、プロデューサーの下田です。

世界の課題解決型シミュレーションゲーム「ワールドピースゲーム」in EIJI PRESS Lab、いよいよ3週間後(4月1日~5日)に迫ってまいりました! まだもう少し枠がありますが、参加をご検討中の方に向けて、このゲームに私が惹きつけられた理由をご紹介したいと思います。

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実は、私には子どもがいませんが、もし自分に子どもができたら「いつか参加してほしい!」と強く願っています。というのも、これからの社会で求められる力を育むのに最適なゲームではないか?と考えているからです。

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その力とは、物事の全体を見渡して俯瞰的に考える「システム思考」や、みんなで協力する「チームワーク」、また「やり抜く力」「好奇心」「自制心」といった非認知的スキルというものです。「非認知的スキル」については、最近ベストセラーになった『GRIT やり抜く力』や『学力の経済学』、英治出版から出した『成功する子 失敗する子』などに詳しく書かれているのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

では、なぜワールドピースゲームがこれらの力を育むのでしょうか? 私はこれまで2回見学しましたが、大きく5つのポイントがあると感じました。

  1. システム思考:大人もびっくりするほど複雑に絡み合った答えのない課題に向き合い、全体的な視点での解決策を探る。
  2. チームワーク:首相や財務大臣、国連から武器商人まで、どの役割も欠かせないもの! 「自分が世界平和のために何ができるか」を問われます
  3. 好奇心:環境問題、民族紛争、領土の奪い合い、テロ、クーデター、秘密国家など、リアリティあふれる世界観に子どもたちがのめり込む
  4. 自制心・やり抜く力失敗や予期せぬ事態にどう対処するか? つねに学び直しながら解決策を自分たちで見つけ出していく。
  5. 交渉力:ゲームのカギとなるのは「交渉」。いかにWin-Winの関係になれるかを探っていく。

 

1.システム思考:大人もびっくりするほど複雑に絡み合った答えのない課題に向き合い、全体的な視点での解決策を探る。

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ワールドピースゲームは40年以上にわたって改良が続けられています。あまりに簡単に終わってしまうと、「子どもたちが、答えがないような困難な課題に向き合う時間を大切にする」という意図からずれてしまうため、開発者のジョン・ハンター氏は課題や役割を見直して、ゲームをどんどん複雑なものにしていきました。

たとえば、ゲームで解決すべき課題は50以上ありますが、「あっちを解決すれば、こっちの問題が悪化する」というふうに、課題同士の利害がぶつかってトレードオフになっている場合が多々あります。つまり、対症療法的な解決策ではなく、「全体の視点で考えて、新しい解決策を見出す」必要があるのです。

これはまさに『学習する組織』でいう「システム思考」。子どもたちはゲームを通じて、自然とシステム思考の考え方を学んでいくでしょう。

ちなみに、複雑だからと言って事前に知識はいりません! 先ほども述べた、ゲームで大切にしている「答えがないような困難な課題に向き合う」時間が損なわれてしまうからだそうです。

 

2.チームワーク:首相や財務大臣、国連から武器商人まで、どの役割も欠かせないもの! 「自分が世界平和のために何ができるか」を問われます。

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ゲームの最少催行人数は25名。子どもたちは4つの国家の首相、財務大臣、防衛大臣、国連、武器商社などの役割を与えられます。さらに、「運命の女神」や秘密の「破壊工作員」といった、アクロバティックな役割もあります。

首相は交渉を担い、財務大臣は国家財政を管理し(計算を間違うと罰金も!)、防衛大臣は軍や武器を管理する。そして国連は各国の交渉を仲介し、武器商社は国家に武器を売り買いする。まさに現実世界と同じような役割が一人ひとりに与えられているのです。一人ひとりが役割を果たさないと、「課題をすべて解決する」「すべての国の資産を上げる」というミッションを達成できません。

見学中に強く印象に残ったのが、「武器商社」となった男の子の姿でした。実は、ゲームのはじめのうちは国と国との交渉がメインとなるため、誰とも話さずに会場を歩き回っているだけのように見えました。

外から見ていて「あの子はあまり参加できていないのでは」と心配になりましたが、後日伺った話によると、ご家庭に戻った時に「武器商社として世界平和にできることって何?」とご両親に尋ねていたそうです。「そんな哲学的なことを考えていたとは!」と本当に驚きました。

 

3.好奇心:環境問題、民族紛争、領土の奪い合い、テロ、クーデター、秘密国家など、リアリティあふれる世界観に子どもたちがのめり込む!

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ゲームの舞台は宇宙、空、陸、海を表す4層のタワー。その上に4つの国家の領土、軍隊、工場、資源などを表す人形やプラモデルが配置されています。これらはゲームの課題と密接にリンクし、紛争状態を示すバトルマークがあったり、オイルタンカーの原油流出を示す糸の輪っかがあったりします。

子どもたちは真剣にタワーを眺めながら、議論をしたり交渉したりしていました。「課題」を頭だけで考えて解決しようとするのではなく、五感を使いながらゲームの世界にのめり込む様子が伝わってきます。

課題も「二酸化炭素を減らすためには?」、「少数民族の反発を押さえながら紛争を収めるには?」といった、現実世界でも見聞きするようなことばかり。さらに、最初に用意された課題だけでなく、「A国でテロが勃発!工場を武装占拠した!」「秘密国家が核ミサイルを落とすことを宣言した!どうする?」など、進行に伴って次々と問題が発生します。

このリアリティが子どもの好奇心を刺激し、家に帰ってからも国際ニュースに関心が向くようになり、ゲームクリアのヒントを探そうと、国際関係や紛争問題について自分で調べるようになったお子さんもいるようです

 

4.自制心・やり抜く力:失敗や予期せぬ事態にどう対処するか? つねに学び直しながら解決策を自分たちで見つけ出していく。

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ゲームの最初のうちは、複雑すぎる課題の数々を理解するのに必死で、どの子もどう進めていいかわからずに圧倒されるそうです。そして、安易な解決策を出してしまうと別のところで問題を引き起こしたり、先ほども説明したように突発的な事件が起こって問題が複雑化したりします。

しかし、投げ出してしまいたい欲求を抑えて交渉や議論にじっくり取り組んでいくと、次第に全体が見えてくるようになりますつまり、自制心が求められるのです。そうすると一つずつ課題を解決していくことができるので、「協力すればできるかも…」という意識が芽生え、途中から解決スピードがぐんと上がることもあります。

「一見無理に思えた課題でも、何とかやり切った」という達成感が、子どもたちの「やり抜く力(GRIT)」につながるのではないでしょうか。

 

5.交渉力:ゲームのカギとなるのは「交渉」。いかにWin-Winの関係になれるかを探っていく。

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ゲームは「交渉」と「宣言」の時間が繰り返されながら進んでいきます。

「交渉」時間では、子どもたちは各国と課題を解決するための交渉を行い、契約書や請求書・領収書など、国際社会に認められるための必要な書類を揃えなければいけません。

「宣言」では、各国首脳がみんなの前に立ち、どの国とどんな取り決めを行ったのか、またどういうふうに軍隊を動かすかということを全体に発表します。ファシリテーターは関連する国や組織に「この決まりについて把握していますか?」と細かく確認していくので、きちんとした書類を見せる必要があるのです。

交渉を通じて、「原油流出の賠償額」「軍隊撤退の費用」について、どちらの国がどれくらいのお金を出すのかをきちんと決めておく必要があります。最終的にすべての国の資産を増やさなければいけない(自分だけの国が増えていればいいわけではない)ので、豊かな国だからといって気前よくお金を出すわけにはいきませんし、「交渉に勝つ」ことにこだわってばかりもいられません。

自分たちの要求をどこまで通しつつ、どこまでであれば譲歩できるのか、といった見極める力と交渉力が求められるのです。

 

 

いかがでしたか? 長々と書いてしまいましたが、実際にゲームを目の当たりにすると、もっともっといろんなことを感じます。5日間という短期間ながら頭をフル回転させる濃密な時間、ゲーム後に大きく変わったお子さんの姿に驚かれる親御さんが多いのも納得です。

チャレンジ精神と好奇心あふれるお子様のご参加をお待ちしております!

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英治出版オリジナルブックフェアを開催中。フェア対象書籍をご購入いただいた方(先着10名)に、「しあわせを運ぶ てんとう虫チョコ」をプレゼント!

みなさんご存じのように、書店ではよくブックフェアが開催されます。店員さんが企画したフェア、作家や著名人が選書したフェア。見かけるとつい足をとめる人も多いのでは? そんなブックフェアの魅力のひとつは、思いがけない本との出会い、いわばセレンディピティ(幸運な偶然)が起こることかもしれません。

 

英治出版もしばしば書店のブックフェアに関わっています。ソーシャルデザイン関連書フェア、春のフレッシャーズ向けのフェア、国際ガールズ・デー(10月11日)にちなんだフェア。ただ、「書店以外」でのフェアはあまりしてきませんでした。英治出版にはイベントスペースEIJI PRESS Labがあり、壁一面の大きな本棚があるのに。

 

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↑毎春、ブックファースト新宿店さんで開催している
フレッシャーズ向けブックフェア

 

そこで、毎月テーマを決めて、EIJI PRESS Labと英治出版オンラインストアで英治出版オリジナルブックフェアを開催することにしました。最近の新刊も過去に出版した本もごちゃまぜに選書。予想外の発見(セレンディピティ)があるかも?

 

2月といえば、バレンタインデー。筆者が毎年思い出すのは、小学生のころに手作りしたチョコレートのこと。担任の先生にあげるつもりでつくりました。プレゼントだから、きれいな包装紙に包んで渡す。そんな発想があってもよかったはず。ですが私は、アルミホイルに包んだチョコレートをプレゼントしてしまいました・・・。

 

余談はさておき、今月は『チョコレートの真実』を起点に、全部で6冊を選びました。

チョコレートの真実

フェアトレードのおかしな真実
――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』

Because I am a Girl
――わたしは女の子だから』

ハーフ・ザ・スカイ
――彼女たちが世界の希望に変わるまで』

ブルー・セーター
――引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語』

世界で生きる力
――自分を本当にグローバル化する4つのステップ』

Labのフェア用本棚もできあがっています。
Labにお越しの際は、ぜひ覗いてみてください。

英治出版オンラインストアのページはこちらです。

 

 

また、このブログではフェア対象書籍を1冊ずつ紹介していきます。
今回は『チョコレートの真実』です。

 

『チョコレートの真実』

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甘いチョコレートの裏側に隠された、カカオをめぐる過酷な児童労働の苦い真実にせまるノンフィクション。

カカオ農園で働く子供たちは、チョコレートを知らない

世界最大のカカオ豆の輸出国、コートジボワール。密林奥深くの村を訪れたカナダ人ジャーナリストのキャロル・オフは、カカオ農園で働く子供たちに出会う。子供たちは自分たちが育てた豆から何が作られるのかを知らない。自分に課された過酷な労働が、先進国の人々が愛するお菓子であることも、チョコレートが何なのかさえも。

 

苦いチョコレートの歴史を紹介したブログ記事も、
ぜひご覧ください。
社内でもかなりの読書家であるスタッフが書きました。http://www.eijipress.co.jp/blog/2017/02/02/20534/

 

チョコレートの裏側に隠された児童労働のような、目には見えないことが他にもたくさんあると思います。野菜は、誰かが育て、収穫し、お店に運んでくれています。お肉も、他のいろんな商品も同じです。当たり前にそこに並んでいるように見えるモノの背景には、いろんな情報やストーリーがあることを思わされます。

 

見えない現実を覗くこと、
見えないけど想像し得るストーリーを描くこと。
ひとりひとりがはじめられる1歩かもしれません。

 

世界の子どもを児童労働から守る活動をしている、認定NPO法人ACE。彼らは「しあわせへのチョコレートプロジェクト」をおこなっています。チョコレートを食べる人と作る人、みんなが一緒にしあわせになれるように、児童労働のないチョコレートが当たり前に手に入る社会の実現を目指している活動です。プロジェクトで生まれた「しあわせを運ぶ てんとう虫チョコ」は、売上の一部がガーナのカカオ生産地の子どもたちを支援する寄付にもなるそう。てんとう虫チョコを購入してプレゼントする。ACE制作の映画『バレンタイン一揆』を観る。それぞれがしたい、できる方法で応援できるといいですよね。

 

 

また、英治出版オンラインストアで今月のフェア対象書籍をご購入いただいた方(先着10名)に、書籍と一緒にてんとう虫チョコをお送りします。この機会が見えない現実を覗く、見えないけど想像し得るストーリーを描くきっかけになれば嬉しいです。

 

次回は「フェアトレード」の内側を伝える本をご紹介します。