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3.11 震災は日本を変えたのか

3.11 震災は日本を変えたのか

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リチャード・J・サミュエルズ(著), プレシ南日子(訳), 廣内かおり(訳), 藤井良江(訳)

価格 3,080円(税込)
頁数 432頁
判型・製本 四六判 上製
発売日 2016/03/07
ISBN 9784862761965
発行 英治出版

内容紹介

だれもが「変化」を叫んだ。そして何が変わったのか――。
2011年3月11日、東日本大震災。20年にわたる社会的・経済的停滞のなかで起こった震災は、計り知れない悲しみと衝撃と同時に、日本が自らを見つめ直すきっかけをもたらした。改革論者は悲劇の内に希望を見出した。危機は再生の機会と言われた。政治家もメディアも経済界も「変化」を叫んだ。それは国民の関心とアイデンティティを牽引しようという野心に満ちた、事態の解釈をめぐる複数のナラティブ(物語)の闘いでもあった。――本書はこの大震災が日本に与えた影響について米国屈指の知日派が探求した著作である。現地調査とインタビュー、文献研究をもとに著者は、国家安全保障、エネルギー、地方自治という三つの切り口から震災後の政治の深層に迫る。あの時、何が語られ、何が変わったのか。何を教訓とし、これからどこに向かうのか――。圧倒的な情報量、明瞭な枠組み、歴史検証と国際比較を手がかりに、包括的視座で3.11のインパクトを解き明かす。

「震災は変化への扉を開いた。日本は先へ進むだろうか」――緒方貞子(元 国連難民高等弁務官)

「東日本大震災が人々の期待とは裏腹に劇的な変化をもたらさなかった理由を理解したい人にとって必読の書である」――ジェラルド・カーティス(元コロンビア大学教授、『代議士の誕生』著者)

「震災後の日本の安全保障、エネルギー政策、地方行政見直しの取り組みについて一流の分析を加え、変化をめぐる驚くべき要素と抵抗をあらわにした」――マイケル・アマコスト(元駐日米国大使、スタンフォード大学名誉特別研究員)

「災害から立ち直ろうとする日本の可能性を示しつつ、日本が抱える脆弱性を指摘し、何が必要なのか明らかにする。これは3.11後の日本のロードマップだ」――岡本行夫(外交評論家、元東日本大震災復興推進委員会委員)

目次

序文
第1章 過去の状況と3.11
3.11のコスト
危機管理
3.11をめぐる政治的駆け引き
不幸中の幸い
第2章 危機を無駄にしてはならない
変化と3.11のナラティブ
拡大された危機のレトリック
第3章 災害の歴史的・比較的考察
日本の大災害の歴史
海外の大災害との比較
災害外交
結論
第4章 安全保障をめぐり競合するナラティブ
国家安全保障と危機のレトリック
3.11の教訓
何が変わり、何が変わらないか?
結論
第5章 エネルギー政策の議論
過去の状況
エネルギー政策変更のナラティブ
新たな参入者
結論
第6章 地方自治体の再活用
窓は開かれた
地方自治体における変化のナラティブ
結論――学んだ教訓とつかんだ機会
結論

著者

[著者]
リチャード・J・サミュエルズ(Richard J. Samuels)
マサチューセッツ工科大学(MIT)政治学部フォードインターナショナル教授、MIT国際研究センター所長、MIT日本研究プログラム創設者。専門は日本の政治、安全保障。1992-95年MIT政治学部長、2001-08年日米友好基金理事長を務めた。日米の相互理解と文化交流への寄与により旭日重光章を受章している。著書『富国強兵の遺産―技術戦略にみる日本の総合安全保障』(奥田章順訳、三田出版会、1997年)で日本に関する優れた英語文献に贈られるジョン・ホイットニー・ホール・ブック賞および有沢広巳記念賞を受賞。また『日本における国家と企業―エネルギー産業の歴史と国際比較』(廣松毅監訳、多賀出版、1999年)で大平正芳記念賞を、『マキァヴェッリの子どもたち―日伊の政治指導者は何を成し遂げ、何を残したか』(鶴田知佳子、村田久美子訳、東洋経済新報社、2007年)で米国政治学会エルビス・シュローダー賞を受賞した。他の著書に『日本防衛の大戦略―富国強兵からゴルディロックス・コンセンサスまで』(白石隆訳、日本経済新聞出版社、2009年)などがある。