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教えない授業――美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方

教えない授業――美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方

  • ¥1,760
    単価 あたり 
税込

鈴木有紀(著)

価格 1,760円(税込)
頁数 248頁
判型・製本 四六判 並製
発売日 2019/04/15
ISBN 9784862762658
発行 英治出版

内容紹介

表現力、論理的思考力、コミュニケーション力・・・「生きる力」を育むアート鑑賞


「どこからそう思う?」って聞いてみて!
これからますます求められる「主体的に学ぶ力」はどうすれば伸ばせるのだろう? 芸術鑑賞の手法としてニューヨーク近代美術館で生まれ、効果抜群の学習スタイルとして幅広い学年・教科、さらにはビジネス界にも広がり始めた「対話型鑑賞」の入門書。


★新たな学習法として注目高まる「対話型鑑賞」、待望の入門&実践書。
★実際の授業のやり取りの様子、幅広い教科・分野での実践事例を紹介。
★新学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び」を促す手法としても有用。


対話型鑑賞とは・・・作品についての情報や解釈を専門家や教員が一方的に伝えるのではなく、鑑賞者自身の思いを尊重し、グループでの対話を通して作品を味わっていく鑑賞法。1980年代にニューヨーク近代美術館(MoMA)で生まれた。鑑賞力だけではなく、観察力・批判的思考力・言語能力・コミュニケーション能力といった総合的な「生きる力」の育成につながる手法として、他教科での応用や企業研修への導入が進んでいる。


第1章 問いかけの魔法――対話型鑑賞とは何か
第2章 学びを促す仕掛け――対話型鑑賞の4つの柱
第3章 ある日の「教えない授業」
第4章 対話が生まれる理由――授業の中で起きていること
第5章 さまざまな分野で「対話型授業」
第6章 ナビゲーションの実践
第7章 よりよい学びの場づくりのために
第8章 対話型授業がひらく未来


ニューヨーク近代美術館で始まった「対話型鑑賞」。これを4年間かけて、美術にとどまらず全教科に応用・普及させた愛媛県。本著は対話型鑑賞の基礎とその可能性を具体的に提示する待望の一冊。――京都造形芸術大学教授 福のり子


目次

第1章 問いかけの魔法――対話型鑑賞とは何か
すべては「問い」から始まる
「教えないこと」が主体的な学びをもたらす
小学一年生が自ら問いをみつけ、考える
学校全体で実施した「朝鑑賞」の効果
ビジネス界も注目し始めた

第2章 学びを促す仕掛け――対話型鑑賞の4つの柱
1 鑑賞者を考慮した「視覚教材」
2 四つの基本プロセス「みる・考える・話す・聴く」
3 さらなる観察や思考を促す「問い」
4 ふりかえり
みんなで一つのものをみること

第3章 ある日の「教えない授業」
授業に入る前に
まずはよくみる!
次々に出てくる新たな視点
みんなが対話に参加する
作品の中に物語がみえてきた!

第4章 対話が生まれる理由――授業の中で起きていること
「教える人・教わる人」ではなく「みんな」
「つぶやき」から問いが生まれる
「どこからそう思う?」の効果
「どこから」と「どうして」の違いを検証
問いかけるタイミング
ポインティングが共有を可能にする
言い換え(パラフレーズ)が安心感をつくる
学びを後押しする情報提供

第5章 さまざまな分野で「対話型授業」
社会の課題を「自分ごと」として考える(社会科)
子どもの問いから始まった授業(国語)
手が教材に! 二部構成で学びを深める(理科)
安心できる場が生徒の力を引き出す(特別支援学級)
算数、体育、地域学習…無限の応用可能性

第6章 ナビゲーションの実践
視覚教材のディスクリプション
問いのシミュレーション
ナビゲーターの動き
ふりかえりをしよう
よいナビゲーターはよい鑑賞者

第7章 よりよい学びの場づくりのために
最初は子どもたちが話しやすい場づくりを
その視覚教材で大丈夫?
まずは基本、工夫はその後で
どこからそう思う? を忘れない
対話は全員を巻き込んで行う
目を合わせて話すこと
子どもたちが思考停止に陥るとき(1)
子どもの話を「聴く」ということ
子どもたちが思考停止に陥るとき(2)
察しの悪いナビゲーター

第8章 対話型授業がひらく未来
高校野球部に対話型鑑賞がもたらした変化
AI時代に求められる「自ら学ぶ力」
働いて、笑い、学び続ける大人に
経済界も動き始めている
「めかくしアートツアー(ブラインド・トーク)」
対話型鑑賞とまちづくり――広がる可能性

著者

[著者]
鈴木有紀(すずき・ゆき)
愛媛県美術館学芸員。1969年、愛媛県生まれ。県内の自然・科学系博物館、歴史系博物館の勤務を経て、2001年より現職。美術館の教育普及を担当し、館内外で「対話型鑑賞」の普及に努める。2013年からは県内の小中学校等と連携して教育現場への導入に取り組んでいる。2015年度から4年間、文化庁の補助事業の一環として愛媛県美術館が県内博物館や小中学校、外部専門家とともに実施した「えひめ「対話型授業」プロジェクト」では、美術にとどまらず幅広い教科での活用・応用を推進。対話型鑑賞のさらなる促進に努めている。