書籍情報
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女性は数学が苦手、男性はケア職に向いていない、白人は差別に鈍感、年寄は記憶力が悪い……
「できない」と言われると、人は本当にできなくなってしまう。
本人も無自覚のうちに社会の刷り込みを内面化し、パフォーマンスが下がってしまう現象「ステレオタイプ脅威」。
社会心理学者が、そのメカニズムと対処法を解明する。
【ステレオタイプ脅威とは】
周囲からステレオタイプに基づく目で見られることを怖れ、その怖れに気をとられるうちに、実際にパフォーマンスが低下し、怖れていた通りのステレオタイプをむしろ確証してしまうという現象。
●直接差別的な扱いを受けたり、偏見の目を向けられたりしていなくても、社会にステレオタイプが存在するだけで、人は影響を受けてしまう。
●努力をすればするほど、その影響は大きくなる。
●自力で抜け出すのは難しいが、ちょっとした声がけや環境設定で無効化することができる。
アイデンティティーを持つがゆえの制約
第2章
アイデンティティーと成績の不可思議な関係
―「女性は数字に弱い」という刷り込み
第3章
ステレオタイプ脅威の正体
―なにが実力発揮を妨げていたのか
第4章
なにを主要なアイデンティティーと捉えるか
―「別の人生」を歩むことを選んだ人々
第5章
誰しもが影響を受ける
―アジア系女子大生が教えてくれたこと
第6章
優秀な人ほど打ちのめされる
―過剰努力の悲劇
第7章
思考と身体への負担
―蝕まれるワーキングメモリ
第8章
環境に潜む「サイン」の働き
―クリティカルマスの力
第9章
ステレオタイプ脅威を縮小する方法
―ナラティブというトリック
第10章
わたしたちを分断するもの
―サウスウェスト航空のファーストクラス
第11章
人をつなぐ橋としてのアイデンティティー
[著者]クロード・スティール
社会心理学者。「ステレオタイプ脅威」と「自己肯定化理論」の研究で知られる。多数の論文を執筆しており、米国科学アカデミー、米国教育アカデミー、アメリカ哲学協会、アメリカ芸術科学アカデミーのメンバー。カリフォルニア大学バークレー校の副学長、コロンビア大学の副学長を経て、現在はスタンフォード大学で心理学教授を務めている。
[翻訳]藤原朝子
学習院女子大学非常勤講師。訳書に『シリア難民――人類に突きつけられた21世紀最悪の難問』(ダイヤモンド社)、『未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』『プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか』(英治出版)など。慶大卒。
[日本語版序文]北村英哉
東洋大学社会学部教授。主要編著作に『偏見や差別はなぜ起こる?――心理メカニズムの解明と現象の分析』(ちとせプレス)、『社会心理学概論』(ナカニシヤ出版)、「社会的プライミング研究の歴史と現況」(『認知科学』20)、『進化と感情から解き明かす社会心理学』(有斐閣)、訳書に『心の中のブラインド・スポット――善良な人々に潜む非意識のバイアス』(北大路書房)。