0
Book
子どもたちに民主主義を教えよう――対立から合意を導く力を育む[あさま社]

子どもたちに民主主義を教えよう――対立から合意を導く力を育む[あさま社]

  • ¥1,980
    単価 あたり 
税込

工藤勇一(著), 苫野一徳(著)

価格 1,980円(税込)
頁数 232頁
判型・製本 A5変形判 並製
発売日 2022/10/06
ISBN 9784910827001
発行 あさま社(発売:英治出版)

内容紹介

★ベストセラー『学校の「当たり前」をやめた。』著者
元麹町中の校長と、「哲学対話」で著名な教育哲学者が初タッグ!
★宿題廃止、全員担任制、合唱コンクール廃止…
究極の狙いは「民主主義」教育だった!
★教育関係者・必読のあらたな羅針盤
分断の時代を生きる子どもたちに必須の「対話の力」とは?
★親も注目! ビジネスパーソンの現場にも役立つ必須知識

「教育の役割とは何か?」
「学校は何のためにあるか?」

学校改革の旗手と教育の本質を問い続けてきた哲学者・教育学者が
教育の本質を徹底議論! 究極の目的は「民主主義」教育だった。

ーー「多数決で決めよう」のどこに問題があるか、わかりますか?

「誰一人置き去りにしない」を教えるはずの教室で
平然と少数派を切り捨て、
一度決めたことには従え! と「従順な子」をつくる教育がおこなわれている。

未来の社会をつくる子どもたちに本当に伝えるべきことは、
対立を乗り越え、合意形成に至るプロセスを経験させることではないか。
学校で起きるトラブルこそが絶好の学び場であるはず……

本書は、子どもたちの「対話の力」を重視し、
学校で民主的な力をいかに育むかを提案する実践的教育書だ。

民主主義の考え方を広めていくことで
当事者意識が低い「日本社会」をアップデートする、
著者二人のつよい覚悟を持って書かれた。

いじめ、理不尽な校則、不登校、体罰、
心の教育、多数者の専制、学級王国・・・

いまの学校が抱える大問題を分析しながら
何ができるか、どこから変えていけるか、
哲学と実践を見事につなぐ画期的1冊。

現場で奮闘する教育関係者・保護者、必読!

目次

序章 学校とは何のために存在するか
   社会を後戻りさせない「教育の力」 工藤勇一
・トラブルは絶好の学びの場
・教育の究極の目標
・「殴らなきゃ生徒はわからないよ」
・民主的な学校の条件
・なぜいま、教育と民主主義なのか
・従順さを求める教育を終わりにする
・哲学から実践への橋渡し

第1章 民主主義の土台としての学校
──全員が合意できる「最上位目標」を探せ
・「多数決で決めよう」のどこが問題か、わかりますか?
・デモクラシーの歴史
・少数派を切り捨てない「対話の方法」
・多数決を使っていいときの「条件」
・起点としての「自由の相互承認」と「一般意志」
・公教育の役割を再定義する
・自由な社会なら何をしてもいいのか
・学校って「自分の将来のため」にあるの?
・ラーニングコンパス2030の衝撃
・ロシアのウクライナ侵攻をどう見るか
・当事者意識の低い日本
・「問題は、あなたが行動を起こすかどうかだ」

第2章 日本の学校の大問題
   ──民主主義を妨げる 6つの課題
(課題1:心の教育)
「思いやり」で対立は解消できない
嫌いな人がいたってかまわない
「空気の読み方」を教える道徳の教科書
子どものへの愛情なんて見えないもの
(課題2:いじめ問題)
「いじめ撲滅」の発想がいじめを増やす
逃げ場のない学校設計への提言
(課題3:教員養成)
同質性と従順さばかり求める教室 
家族システムから考える「日本人の従属性」
(課題4:ブラック校則)
「ルールは守るもの」と教える学校教育
(課題5:学級運営)
「学級王国」大好きな教員たち
「教師の仮面」を脱げ!
(課題6:よい教師とは)
先生の技量を上げれば問題は解決するという幻想
どんな教育なら「よい」と言えるのかを合意せよ
法律から考えてみる

第3章 学校は「対話」で変わる
──教育現場でいますぐできる 哲学と実践
・政治教育はいらない
・学校運営を子どもに託すというやり方
・子どもが変われば、保護者も変わる
・合意をめざすアプローチーー超ディベート
・生徒会の定期的なスクラップ&ビルドを
・スピーチ指導を徹底する理由
・理想とのギャップに苦しむ教員へ
・「校則づくり」は注意が必要
・これからのリーダーに求められる条件
・校長でなくても一人の教師から変えられる
・強制参加か、希望制か――自分で葛藤して、学ぶ力
・保護者が学校を変えたい、と思ったら
・意識改革は3つのステップで進む
・みんなが元気になる三者面談
・甲子園大会がなくなる日

終章 教育を哲学することの意味
──「よい教育」をつくるための誘い  苫野一徳
・"本質"を問う哲学
  ・志の連鎖
  ・「読書対話の会」への誘い
  ・教育学がなすべき使命

著者

工藤勇一(くどう・ゆういち)
横浜創英中学・高等学校長
1960年山形県鶴岡市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを経て、2014年から千代田区立麹町中学校長。教育再生実行会議委員、内閣府 規制改革推進会議専門委員、経済産業省 産業構造審議会臨時委員など、公職を歴任。2020年3月まで千代田区立麹町中学校で校長を務め、宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止などの教育改革を実行。一連の改革には文部科学省が視察に訪れ、新聞各社・NHK・民放各局などがこぞって取り上げるなど話題となる。初の著書『学校の「当たり前」をやめた。生徒も教師も変わる!公立名門中学校長の改革』(時事通信社)は10万部を超えるベストセラーに。著書に『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』、『最新の脳研究でわかった! 自律する子の育て方』(以上SBクリエイティブ)、『学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか』 (鴻上尚史氏との共著/講談社現代新書)など。

苫野一徳(とまのいっとく)
哲学者・教育学者。
1980年生まれ。熊本大学大学院教育学研究科准教授。博士(教育学)。早稲田大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程修了。専攻は哲学・教育学。経済産業省「産業構造審議会」委員、熊本市教育委員のほか、全国の多くの自治体・学校等のアドバイザーを歴任。著書に『学問としての教育学』(日本評論社)、『「自由」はいかに可能か』(NHK出版)、『どのような教育が「よい」教育か』(講談社選書メチエ)、『勉強するのは何のため?』(日本評論社)、『はじめての哲学的思考』(ちくまプリマ―新書)、『「学校」をつくり直す』(河出新書)、『教育の力』(講談社現代新書)、『子どもの頃から哲学者』(大和書房)など多数。