ブックファンド

コンセプト

著者を応援する仕組み

英治出版は、2000年4月に最初のブックファンドを組成しました。内モンゴルからの留学生が日本語で書き下ろした美しい詩、散文に感動した仲間たちが、その共感を形にし、世の中に広げるためにブックファンドを利用し、ボヤンヒシグ著『懐情の原形』が生まれました。そして、詩集としては異例ともいえる4000部超の販売となり、発売から1年後、ブックファンドは元本に対し16.6%の配当金をのせて償還されました。

その後、英治出版のブックファンドは、企業のブランディング活動の一環として、あるいは作家デビューの機会など、著者や出版を通じた著者の目標を応援してきました。2007年2月末までに45タイトルが出版され、その中には山田真哉著『女子大生会計士の事件簿1~4』のようなベストセラーや、グロービス選書『リーダーを育てる会社・つぶす会社』、高田貴久著『ロジカル・プレゼンテーション』などのビジネス書ロングセラーが生まれています。

「共感」がキーワード

英治出版は、第1号ブックファンドから2つのことを学びました。1つは、お金は「共感に」集まるということ。そしてもう1つは、ファンドの利益は金銭的なものだけではないということです。それを最も具現化したブックファンドが、2006年に成立しました。『南の島の「プルワン」』という作品です。

このブックファンドがユニークな点は、著作権料(保証印税)のすべてを孤児院建設費用に充てるという点です。あらかじめ、企画者であるスプートニクと英治出版の間で、著作権料すべてを孤児院建設プロジェクトに使用する旨の了解がありました。また500冊をスリランカの学校に寄付することも必要経費の一部となっており、これらをすべて含んだ金額をファンド総額に設定しました。

金銭的利益だけを考えれば、こうした費用は出資者にとって不要かもしれません。しかし、そういった費用を含んでいたからこそ、このファンドが成立したのだと思います。ファンドが成立すれば、孤児院建設費用がスプートニクに支払われる。本が出版されれば、スリランカの子ども達に本をプレゼントできる。そのことを知っていたからこそ出資したのだと思います。そこにある「共感」が、このファンドは成立させたのだと思います。

出版における3つの価値

本には、大きく3つの価値があると思っています。1つめは金銭的価値で、本を販売するなどして得られる収益です。2つめは文化的価値。本という形にまとめられることで、一時代の1つの文化がパッケージに収められる価値です。そして3つめは、出版を通じて達成される社会的価値。孤児院が建設されたり、子ども達に本がプレゼントされたり、企業であれば自社のブランド認知があがることも社会的価値が向上したといえるでしょう。

英治出版は、この3つの価値の合計を最大化するよう努力していきたいと思っています。金銭的価値という尺度にすべてを置き換えて比較することは難しいですが、英治出版は出版を通じて達成する社会的価値に注目しています。

いま時代は、共感資本主義に突入しはじめています。共感のあるところにお金が集まる時代。そして共感の中味は、金銭的なものよりも、文化的だったり、娯楽的だったり、あるいは社会的な価値に、より多くの関心が集まるようになっていると思います。

そして、最初に共感に手を挙げてくれた人たち(出資者)に、社会的価値と合わせて読者にその共感が波及することで生み出される金銭的価値も還元できる仕組みを提供していきたいと思います。

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