キューバは不思議な国だ。
ある人は、映画『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』で描かれたように音楽の楽園として思い描く。
ある人は、誇りある国家の姿をそこに見る。
キューバは、傲慢な大国・アメリカ合衆国に隣接しながら、反旗を翻しつづけてきた。
一方、多くの人間が、命をかけてマイアミ海峡を泳いで亡命してきた。アメリカは、キューバでは人権侵害が横行していると弾劾する。
キューバ危機をはじめ、この国をめぐって様々な事件が起こっているが、ニュースはそこで生活している人間の素顔を映し出すことはない。キューバで出会った市井の人々のことばこそ、キューバを理解する手引きとなるだろう。
カリブに浮かぶ不思議の島−キューバ
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in サンチャゴ・デ・クーバ
ロランド・サラス
俺の魂は、アメリカとは関係ないよ。
自前のカブリオレ・コンバーチブルでタクシーの運転手をしている。
革命前はフィデル・カストロ、チェ・ゲバラとともに、地下で反政府活動をしていた。
カストロとキューバをこよなく愛し、アメリカの傲慢さに腹を立ててはいるものの、なぜかかぶっている帽子はNBAの帽子だった。

in トリニダー
フランシスコ
石鹸をくれ。俺の鶏を見てくれ。
お前、絵描くの?金をくれんのか。
写真?じゃぁ金をくれ!
観光客向けの籠と帽子を売っていた。
サトウキビ畑、建設現場で15年働今は年金をもらいながら生活している。

in カシルダ
ルイス・アコスタ・ヒメネス
革命で漁師の生活は楽になった。
フィデルは最高の男だよ。
65歳。船乗り、コックを経て、革命後に漁師になる。足ひれと水中眼鏡だけで海へもぐり、銛で突くというワイルドな漁業をしていた。前年に台風に襲われ、家が全壊したので、カストロが用意してくれたホテルで仮住まい。家が直ったら、カシルダに帰る予定。
今は年金生活を送っている。
